検索
  • takehikomizukami

B Corpは、日本で広がるか。コミュニティづくりがカギを握る

B Corpは、日本で広がるか。カギは、コミュニティづくり


B Corpについては、7-8年前から注目し、ときどきブログで記事を書いていましたが、日本でのその取得が広がりつつあります。現在(2022年7月9日)までに、日本で、シルクウェーブ、石井造園、クラダシなど、中小企業やスタートアップを中心に、13社がB Corp認証を取得しており、取得準備中の企業も増えているようです。今年6月に、B Corpの概要や取得方法などを纏めた「B Corp Handbook」の日本語版が発行されており、さらに関心も高まるでしょう。


B Corp(B Corporation)は、米国の非営利団体B Labによる国際認証制度で、厳格な評価のもと、環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられるものです。「B」は「Benefit(利益)」の意味で、社会や環境、従業員、顧客といったすべてのステークホルダーに対する利益を表しています。


B Corpの認証を受けるには、B Labが無料で提供するオンライン認証試験「B Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)」を受け、200の質問のうち80点以上を獲得する必要があります。この認証試験は無料で受けられ、その後、企業に関する質問に回答し、B Corporationの規定に沿った定款文書をつくり、サインします。これらを提出後、B Labが電話でのレビューを行います。これらのプロセスを経て、無事に審査が通れば、認証を取得することができます。すべてのプロセスが完了するまで、かかる期間は6~10か月ほどです。現在、83カ国、5,222企業がB Corp認証を取得しています。


B Corp取得のメリットとしては、B Corpコミュニティへの参画、ブランディング/レピュテーション、従業員エンゲージメント、優れた人材の獲得、顧客からの信頼獲得、パーパスへのコミットメント向上などが挙げられています。


日本でB Corpが本格的に広がるには、取得企業がこれらのメリットを享受できることが重要ですが、そのためには、コミュニティがカギを握るでしょう。グローバルのコミュニティに参画することも考えられますが、日本でのコミュニティづくりも重要です。B Corpの日本コミュニティが互いに協働して価値を生み出す、ムーブメントをつくり出して認知度を高めていくことが必要です。


また、日本政府の動きも大きく影響するでしょう。岸田首相が注力する新しい資本主義の議論では、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の「社会的課題を解決する経済社会システムの構築」において、「民間で公的役割を担う新たな法人形態・既存の法人形態の改革の検討」として、米国で拡大するベネフィットコーポレーション等の新たな法制度の必要性の有無について検討することとし、新しい資本主義実現会議に検討の場を設けるとしています。


ベネフィットコーポレーションは、会社法に基づいて登記するもので、営利目的の企業が、株主価値を最大化していないという理由で投資家から法的な脅威を受けることなく、財務的なパフォーマンスと同時に社会的インパクトを追求できる柔軟性を確保するものです。米国の各州などで採用されているもので、B Corpとは異なるものですが、ベネフィットコーポレーションも、B-Labの働きかけにより誕生しており、B Corp認証は、法的制定が未整備な地域や世界各国でも同じ概念をもって活動できるように創設されたものです。ベネフィットコーポレーションの議論が進めば、必然的にB Corpにも注目が集まるでしょう。


新しい資本主義におけるベネフィットコーポレーション等の議論もこれからのようですので、日本のB Corpコミュニティから、日本における「民間で公的役割を担う新たな法人形態・既存の法人形態の改革の検討」に、どのような方向を目指すべきか、働きかけることもできるでしょう。そういう意味でも、B Corpコミュニティづくりは重要です。


閲覧数:10回0件のコメント

最新記事

すべて表示

前回、マテリアリティ特定において、「自社にとっての重要度」の精査は、サステナビリティ経営の一丁目一番地と言えるほど重要だが、ほとんどの企業のマテリアリティ特定においては、この精査が出来ていないと述べました。 多くの企業のマテリアリティ特定において、「自社にとっての重要度」は、自社の経営層や社員の議論やアンケートなどで評価しています。その際には、自社のパーパス、ビジョン、戦略との整合性などの観点から

マテリアリティ特定は、サステナビリティ経営の最も基本的かつ重要なもので、サステナビリティ経営を進めるとなった場合に、最初に取り組むべきものです。マテリアリティは、言い換えると「重要課題」で、マテリアリティ特定とは、気候変動、水、廃棄物、生物多様性、人権など、様々なサステナビリティ課題がある中で、自社が重点的に取り組むべき課題を評価し、特定するものです。 マテリアリティは、もともとは、投資家向けに企

ビジネスの基本は、顧客ニーズに応えることです。世の中が豊かになり、価値観が多様化する中で、顧客ニーズを洞察し、それに応える製品・サービスを提供し、売上・利益を上げることが求められます。 ビジネスが多様な顧客ニーズに応えて拡大することを通じて、人々の個別ニーズが満たされるとともに、経済が拡大し多くの人々が豊かになります。そしてたくさんの人が幸せになるというのが、資本主義の基本的な考え方です。 しかし