Sustainable Brands記事に、Porter Novelliの分析による2020年のパーパスに関する10のトレンドの記事がありましたので、概要を紹介します。
1. 気候コミットメントの実現
グーグルが、2020年9月に、これまでデータセンターやオフィスで排出してきたすべてのカーボンをオフセットし、大手企業としてはじめて、これまでのカーボンフットプリントをゼロにしたことを発表しましたが、2020年は、野心的なサステナビリティの目標を達成する企業が相次ぎました、
2. DEIムーブメント
2020年は、人種差別が改めて問題視され、ブラックロックが2024年までに黒人の雇用を30%増やすとコミットするなど、人種差別解消にコミットする企業も増えました。なお、最近、欧米企業では、Diversity & Inclusionではなく、より能動的に多様な人々の公平性を担保しようとするDiversity, Equity & Inclusion (DEI)を使う企業が増えているようです。
3. 競合同士のコラボレーション
COVID-19対策として、アップルとグーグルが濃厚接触通知アプリを協働で開発、ゼネラルミルズ、ネスレ、ウォルマートなどが協働での食品廃棄の問題にコミット、アディダスとオールバーズがカーボンフットプリントを最小化するシューズ開発で協働するなど、1社では解決できないサステナビリティ課題に対して、競合という枠組みを超えて協働する事例が増えています。
4. 企業によるカーボンニュートラルを超える動きの加速
COVID-19を受けて、サステナビリティを経営に統合することが重要と考える企業が増えています。そして、気候変動に対するより野心的な目標を掲げる企業も増えています。マクロソフトは、2030年までにカーボンネガティブを実現するとの目標を掲げ、10億ドルの投資ファンドを設立しましたが、カーボンニュートラルを超えて、カーボンネガティブを目指す企業が登場しています。
5. 多様な人々に向けた商品提供
テスコが様々な肌の色合いに応じた“バンドエイド”を提供、マテルが頭髪のないバービー人形、障がいを持ったバービー人形を提供するなど、多様な人々に対応する商品・サービスの提供が増えています。
6. 従業員を重視する企業
COVID-19を受けて、従業員を守ることの重要性が再認識されました。スターバックスが、COVID-19で仕事を休まざるを得ない人に14日分の賃金を支給するなど、2020年は、金銭面や福利厚生面で、従業員を支援する動きが広まりました。
7. 大企業による中小企業の支援
COVID-19は、中小企業の経営により大きな影響を及ぼしました。ユニリーバが、パンデミックの拡大後すぐに、中小サプライヤーを財務的に支援するために支払いを早めることにしましたが、本物のパーパスを持つ大企業による中小企業を支援する動きがありました。
8. サステナブルなパッケージが注目される
ディアジオなどが、紙製ボトルのプロトタイプを提供する、タコベルが100%リサイクル可能なパッケージを提供するなど、2020年は、サステナブルなパッケージに関する取り組みが進みました。
9. 企業による投票のサポート
米国では、企業が従業員や顧客などが大統領選に投票するようサポートするなど、企業による投票を促進する取り組みがありました。その結果、歴史的な投票率が実現しています。
10. パフォーマンスからインパクトへ
ブラック・ライブズ・マターの動きを受け、多くの企業が黒人コミュニティを支援するステートメントを発表しましたが、それだけでなく実際の行動が求められました。例えば、ベン&ジェリーズは、米国の黒人差別の歴史を紐解き、ポッドキャストで米国民を啓発するなどしています。
COVID-19により大きな変化のあった2020年ですが、その中で、経営とサステナビリティの統合がより求められるようになりました。本物のパーパスを持つ企業を中心に、来年以降も経営とサステナビリティを統合する動きが加速し、広がることが期待されます。
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