最近の話題は、森喜朗氏の女性蔑視発言一色と言っていいくらい、森氏の発言は大きな関心を集めています。影響力のある方のこれだけあからさまな発言はなかなかないものではありますが、これだけ大きな話題となっているのは、人々の内面にある葛藤に訴えかけるものだからでしょう。
人々の内面における潜在的な対立は、葛藤を感じさせ、それをどうにかしたいという欲求を生じさせます。女性蔑視問題は、ここ数十年で社会規範が大きく変化したイシューであり、内面がその変化についていっていない古い世代の人々、そうした古い世代人々の内面を理解できない新しい世代の人々などに葛藤を生じさせているのだと思います。
社会規範=ソーシャル・ノームには、ハイパー・ノームとローカル・ノームがあります。「ハイパー・ノーム」とは、国家、民族、文化、宗教などを超越して持ちうる普遍的な社会規範のことです。一方で、国、地域、文化圏、業界など、特定コミュニティ内でだけ通用する社会規範を「ローカル・ノーム」と言います。グローバル化が進む現代では、ハイパー・ノームの影響力が大きくなっています。
サステナビリティの分野では、ハイパー・ノームを規定して広げ、世界の企業の行動変容を
を促すということが行われています。CSRのスタンダートであるISO26000、ビジネスと人権に関する指導原則などは、ハイパー・ノームを規定していますし、SDGsもハイパー・ノームと言って良いと思います。現在の企業経営においては、こうしたハイパー・ノームに先んじて対応することが求められています。
ソーシャル・ノーム、ハイパー・ノームは、時代とともに変化します。冒頭の森氏発言と関係するジェンダー平等を含むダイバーシティ&インクルージョンは、ハイパー・ノームとして広まっています。しかし、数十年前の日本のローカル・ノームでは、ジェンダー不平等が蔓延していました。その時代のローカル・ノームに染まっている人々の中には、内面ではジェンダー平等を十分に受け入れられていない人々も多いのではないかと推察します。
しかし、時代とともにソーシャル・ノームが変化すること、今の時代のハイパー・ノームは何であるかは、少なくともリーダ層は理解しておかなければなりません。そうした理解があれば、仮に内面でのノームの受容が十分でなくとも、言葉に表すことはないでしょう。
政治、行政、ビジネスなどのリーダー層に対するノームの教育が必要です。
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