top of page

日本発サーキュラー・エコノミーのコラボレーションへの期待

  • takehikomizukami
  • 2020年7月24日
  • 読了時間: 3分

先日、サントリーMONOZUKURIエキスパート、東洋紡、レンゴー、東洋製罐グループホールディングス、J&T環境、アサヒグループホールディングス、岩谷産業、大日本印刷、凸版印刷、フジシール、北海製罐、吉野工業所の12社が、使用済みプラスチックの再資源化に取組む新会社「アールプラスジャパン」を共同出資で設立しました。

アールプラスという社名には、(1)リサイクルを推進する、(2)プラスチックに価値をプラスする、(3)日本のプラスチックリサイクルに関わるバリューチェーン各社が結集し、サーキュラー・エコノミーの実現を強力に推し進めていく、という3つの思いが込められているとのことです。

こうした社会課題解決に向けた企業間のコラボレーションの取り組みとしては、(2)の「プラスチックに価値をプラスする」に関連して、消費者がサステナブルなプラスチックに価値を感じるよう、消費者意識を啓発することが重要でしょう。ここは、サントリーやアサヒなどの消費財企業が強いところかと思いますが、セブン&アイやイオンなどの流通企業、広告代理店、消費者団体やNGO、政府なども協働して消費者の意識を変えていくことが期待されます。

また、(3)のリサイクルに関わるバリューチェーンを構築することも重要です。ここでも流通企業や自治体などとの協働による使用済みプラスチックを回収する仕組みづくり、それから使用済みプラスチックを新たな素材として再生する素材メーカーとの協働が期待されます。

なお、アールプラスジャパンが立ち上げられた背景としては、サントリーが、「2030年までに、グローバルで使用するすべてのペットボトルの素材を、リサイクル素材と植物由来素材に100%切り替え、化石由来原料の新規使用ゼロの実現を目指す」というビジョン実現に向けて、植物由来100%ペットボトル素材を共同開発している米バイオベンチャーのアネロテックの技術が、使用済みプラスチックからエチレンやプロピレンなどを生成可能ということが分かったことで、幅広く展開しようということになったようです。

このようなサーキュラー・エコノミーのコラボレーションが成功するには、回収したプラスチックを素材に変える素材メーカー、素材からボトルやパッケージなどのプラスチック製品を製造するメーカー、プラスチック製品を使用する消費財ブランド、そして廃棄されるプラスチックを回収する組織が必要です。そして、バリューチェーンの構築、消費者啓発やルールメイキングなどのCSVの考え方、共有目的に基づくコラボレーションを成功させるコレクティブ・インパクトの考え方を取り入れることが有効です。

アールプラスジャパンも、CSVやコレクティブ・インパクトの考えを取り入れて、アネロテックの技術の展開ということに限定されず、本格的なサーキュラー・エコノミーのコラボレーションを進めていってもらいたいと思います。

 
 
 

最新記事

すべて表示
チーフ・サステナビリティ・オフィサーは不要になりつつあるのか?批判派は、サステナビリティが財務的・運営上の重要性を帯びる中で、権限を伴わない影響力では不十分であるためCSOの存在意義が失われつつあると主張する。擁護派は、気候リスクから地政学、AIに至る複雑性の増大が、統合的なシステムレベルの経営幹部をこれまで以上に不可欠にしているとの反論を展開する。

過去20年間、チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)は、サステナビリティの進化の象徴的存在だった。企業がこの役職を設置することは、気候変動、社会インパクト、ガバナンス、透明性、レジリエンスなどへの真剣な取り組みを示すものだった。 状況は変わりつつある。一部では、CSOはもはや先駆者というより遺物と見なされ、建設的な存在というより官僚的だと見なされる傾向にある。CSOはますます不要になりつつ

 
 
 
サステナビリティとサステナビリティ経営の変遷。1990年代の環境経営、2000年代のCSR経営、2010年代のESG経営を経て、反ESGの動きもある中2020年代のサステナビリティ経営はどう進化するか?

サステナビリティおよびサステナビリティ経営が歴史的にどう進化してきたか、改めておさらいする。 サステナビリティは経済成長の負の側面としての環境問題への対応からはじまった。1962年にはレイチェルカーソンが「沈黙の春」で化学物質の汚染問題を提起している。日本でも1950年代後半から1970年代の高度経済成長期において、工場などから発生した有害物質によって公害病が引き起こされた。WWFやグリーンピース

 
 
 
「生産性と人間性をどう両立するか」「成功できるかではなく、役に立てるかを人生の軸とせよ」サステナビリティ経営や生き方に重要な示唆を与えるP.F.ドラッカーとジム・コリンズの対話

経営にサステナビリティを統合するうえでの理論的支柱となっている代表的経営思想家として、P.F.ドラッカー、ジム・コリンズがあげられる。 ドラッカーは、 「マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させる上で三つの役割がある。①自らの組織に特有の使命を果たす、②仕事を通じて働く人たちを生かす、③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献することだ」 というサステナビリティ経営

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page