top of page
検索
  • takehikomizukami

日本発サーキュラー・エコノミーのコラボレーションへの期待

先日、サントリーMONOZUKURIエキスパート、東洋紡、レンゴー、東洋製罐グループホールディングス、J&T環境、アサヒグループホールディングス、岩谷産業、大日本印刷、凸版印刷、フジシール、北海製罐、吉野工業所の12社が、使用済みプラスチックの再資源化に取組む新会社「アールプラスジャパン」を共同出資で設立しました。

アールプラスという社名には、(1)リサイクルを推進する、(2)プラスチックに価値をプラスする、(3)日本のプラスチックリサイクルに関わるバリューチェーン各社が結集し、サーキュラー・エコノミーの実現を強力に推し進めていく、という3つの思いが込められているとのことです。

こうした社会課題解決に向けた企業間のコラボレーションの取り組みとしては、(2)の「プラスチックに価値をプラスする」に関連して、消費者がサステナブルなプラスチックに価値を感じるよう、消費者意識を啓発することが重要でしょう。ここは、サントリーやアサヒなどの消費財企業が強いところかと思いますが、セブン&アイやイオンなどの流通企業、広告代理店、消費者団体やNGO、政府なども協働して消費者の意識を変えていくことが期待されます。

また、(3)のリサイクルに関わるバリューチェーンを構築することも重要です。ここでも流通企業や自治体などとの協働による使用済みプラスチックを回収する仕組みづくり、それから使用済みプラスチックを新たな素材として再生する素材メーカーとの協働が期待されます。

なお、アールプラスジャパンが立ち上げられた背景としては、サントリーが、「2030年までに、グローバルで使用するすべてのペットボトルの素材を、リサイクル素材と植物由来素材に100%切り替え、化石由来原料の新規使用ゼロの実現を目指す」というビジョン実現に向けて、植物由来100%ペットボトル素材を共同開発している米バイオベンチャーのアネロテックの技術が、使用済みプラスチックからエチレンやプロピレンなどを生成可能ということが分かったことで、幅広く展開しようということになったようです。

このようなサーキュラー・エコノミーのコラボレーションが成功するには、回収したプラスチックを素材に変える素材メーカー、素材からボトルやパッケージなどのプラスチック製品を製造するメーカー、プラスチック製品を使用する消費財ブランド、そして廃棄されるプラスチックを回収する組織が必要です。そして、バリューチェーンの構築、消費者啓発やルールメイキングなどのCSVの考え方、共有目的に基づくコラボレーションを成功させるコレクティブ・インパクトの考え方を取り入れることが有効です。

アールプラスジャパンも、CSVやコレクティブ・インパクトの考えを取り入れて、アネロテックの技術の展開ということに限定されず、本格的なサーキュラー・エコノミーのコラボレーションを進めていってもらいたいと思います。

閲覧数:63回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サステナビリティ推進にあたっての基本の1つは、バリューチェーン全体で考えることです。企業が新たな取り組みを進める場合は、グローバルの3大サステナビリティ課題である気候変動、生物多様性/自然資本、人権を中心に、バリューチェーン全体の環境・社会的影響を考慮する必要があります。 企業の取組みもそうですが、政策においても、バリューチェーン全体の影響を考慮する必要があります。特に、脱炭素の取組みにおいては、

徳島の高校でコオロギパウダーを使った給食を試食で出したことをきっかけに、昆虫食が大きな話題となっています。Twitterなどでは反対意見が圧倒的に多く、理由としては、生乳廃棄や人口減少などの国内事情を踏まえてたんぱく質不足対策としての昆虫食は必要ない、アレルギーなどのリスクがあるといったことがあげられています。 昆虫食開発の背景にあるのは、世界の人口増加および途上国の経済発展に伴い食肉需要が増加す

サステナビリティと経営、非財務と財務を統合して情報開示するツールとして、統合報告がある。統合報告は、サステナビリティ経営に取り組む原則3「自社事業、バリューチェーンに影響を及ぼす課題に対して、戦略的に対応する」を中心に、社内外のステークホルダーにサステナビリティに取り組む経営的意味合いを伝えるために活用すべきものだ。 統合報告の作成プロセスも、経営層をはじめ、社内の様々なステークホルダーとコミュニ

bottom of page