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日本企業でも新しいコラボレーションによるCSVが広がってきている

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ビジネスの力で社会課題を解決するCSVは、これまで未解決の課題に新たなビジネスのやり方でチャレンジするものです。そこには、従来とは違う考え方、やり方が求められます。


そうしたCSVを進めるうえで重要なのがコラボレーションです。1社では社会課題解決をビジネス化することが難しい場合でも、社会課題を解決しようという共通の目的を持った他企業、NPO/NGO、政府、金融機関などがコラボレーションすることでCSVを実現することができます。


国内では、人手不足などが深刻な物流分野でコラボレーションが広く行われています。異業種による共同配送のほか、競合企業同士が物流を非競争分野と位置付けて共同配送を行うようになっています。これにより、人手不足に対応するほか、GHG排出の削減につながり、コスト削減のメリットもあります。


最近は、物流分野以外でも日本企業による多様なコラボレーションのCSVが行われるようになっています。ここでは、キリンとコカ・コーラ、メルカリとヤクルト、NECと国際的なアライアンスのコラボレーションをご紹介します。


キリンホールディングスは、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことをビジョンに掲げる日本を代表するCSV企業です。キリンの代表的な製品・サービスのCSVは、健康な人の免疫の維持をサポートする独自技術のプラズマ乳酸菌を活用した商品展開です。iMUSEブランドの飲料などを展開しています。


キリンは、この独自素材であるプラズマ乳酸菌を日本コカ・コーラに提供しています。キリンが技術的サポートをしながら、日本コカ・コーラによるプラズマ乳酸菌を配合した商品の企画・開発を進めています。企業が独自技術を競合に提供するというのは画期的ですが、キリンとしては、「より多くの人々にプラズマ乳酸菌を通じた免疫ケア習慣を広げていくことで、世界の人々の健康で前向きな日常生活に貢献したい」という思いに加え、プラズマ乳酸菌の認知度向上、市場拡大につながるとの戦略的意図もあるようです。


メルカリは、ヤクルトの宅配員に家庭の不用品回収を委託する実証実験を始めています。

ヤクルトの宅配員が家庭を個別に訪問し、不用品を発掘してメルカリで販売します。メルカリなどの試算では国内の家庭に眠る隠れ資産は66兆円を超えるとのことです。頻繁に顧客を訪問して顧客の悩みや事情に通じているヤクルト宅配員とのコラボレーションで家庭に埋もれる不要とされる資産から価値を生み出しフリマアプリの市場を拡大しようとしています。


NECは生体認証で世界有数の技術力を持っており、顔認証システムが世界約80の空港で本人認証に使われるなど、セキュリティ分野で事業を展開しています。一方で、セキュリティ以外の分野でそのポテンシャルを生かせていないという課題がありました。


NECは生体認証の新たな市場を、ジュネーブに本拠を置くGavi(ガビ)ワクチンアライアンスとのコラボレーションで創造しようとしています。官民連携で発足したGaviは、世界保健機関やビル&メリンダ・ゲイツ財団とも協力して、途上国の子供へのワクチン接種を推進しています。


NECによれば、「途上国では接種履歴の記録や管理が行き届かず、何回か打たないと効果のないワクチン接種を途中でやめるドロップアウトが多かった。それを防ぐためにNECの指紋認証が活用できる」ということです。NECは指紋認証技術を活用して、23年にはバングラデシュで1万人の幼児への混合ワクチン接種を支援しています。


コレボレーションによるCSVは、グローバル企業では以前から途上国市場などを中心に行われてきていましたが、日本企業でも多様なコラボレーションが進み始めています。これまでになかった組織間のコラボレーションにより新たな価値創造、新たな課題解決が進む未来に期待が持てます。

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