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日本が課題を抱える領域は、日本にとっては機会である。-ジェンダー平等-

  • takehikomizukami
  • 2022年4月16日
  • 読了時間: 4分

SDGsの中で、日本の取り組みが遅れているものとして最初にあげられるのは、目標5「ジェンダー平等」です。SDGsの各国の達成度を示すSustainable Development Reportで日本の達成度が低い項目として毎年挙げられており、世界経済フォーラムが発表する各国の男女格差を測るジェンダーギャップ指数で156か国中120位(2021年)となっています。


Sustainable Development Report 2021では、「女性国会議員の人数」「男女の賃金差」「家事・子育てなど無賃労働時間の男女差」が目標5に関して具体的に達成度が低い項目として挙げられています。


日本は課題先進国と言われ、少子高齢化、地域の過疎化、エネルギー供給など、様々な課題を抱えていますが、ジェンダー平等も世界トップレベルの課題を抱えています。逆に言えば、日本が課題への取り組みにより競争力を高めるポテンシャルがある領域とも言えます。


以前は、女性は短大に進学するケースも多く、女性と男性との学歴差がありましたが、最近はその差もなくなってきています。知識労働における男女格差は、女性が能力を発揮できる環境が十分ではない証左です。その能力を生かすことで、日本の競争力は必ず高まります。


企業など組織の観点から言えば、ジェンダー平等は、組織のイノベーション創出力を高めます。ジェンダー平等は組織の多様性につながり、多様な感性や考え方が交わることによりイノベーションが生み出されます。イノベーションの源泉となるアイデアは、「既存の要素の新しい組み合わせ」で、「新たに結合する要素が互いに遠いものであればあるほど、そのプロセスや結果はより創造的なものになる」とされます。すなわち、革新的アイデアは違いから生み出されるということです。似通った男性ばかりの組織より、多様性のある組織のほうが、イノベーションを生み出す可能性が高いのは、当然のことです。実際、自動車の購入の意思決定の6割に女性が関与していることを理解し、女性チームによる女性視点での製品開発・マーケティングを推進してヒット商品を生み出した自動車会社など、女性目線だからこその気づきにより生まれたヒット商品は数多くあります。


ジェンダー平等が進んでいない農業や建設といった業界でも、女性の参画を進める取り組みが進められています。農業については、農林水産省が企業の協力を得て、女性の視点を生かした新たな商品やサービスを開発し、農業に従事する女性を増やそうとする「農業女子プロジェクト」を展開し、女性が農業に従事しやすい環境を創りだすため、女性向け農業用作業着、女性向けの車両開発などが行われています。建設については、建機メーカーが、女性に建機のオペレーターとして活躍してもらうため、建機の女性専用講習などを実施しています。また、建設現場で女性が働きやすいようにトイレや更衣室などハード面を整備するほか、休暇を取りやすい制度、研修などを通じた男性中心組織の意識改革などのソフト面の改革が行われています。


こうした業界では、ジェンダー平等を通じて、人手が不足する中で人材を確保し、女性の観点で働く環境を見直すことで生産性が向上し、女性視点で新たな価値を生み出せるポテンシャルがあります。


ジェンダー平等は、新しい市場も生み出します。最近は、女性特有の健康の課題をテクノロジーで解決する商品・サービスであるフェムテック(Female×Technology)が注目されており、2025年までに5兆円の市場を生み出すとの予測もあります。ジェンダー平等の問題が大きいということは、フェムテックの市場ポテンシャルがあるとも言えます。


ジェンダー平等が日本再生のカギを握るという意見もあるように、日本にとって特に重要な課題です。日本の組織は、ジェンダー平等をより大胆に進めるべきです。そのためには、数値目標を掲げることも有効です。組織の目指す姿を考えた場合、そこではジェンダー平等が進んでいる組織が描かれるでしょう。そうであれば、数値目標を掲げて、明確なコミットメントのもと、その実現に向けて取り組みを進めるべきです。企業では、一般社員や中間管理職からではなく、トップ層からジェンダー平等を進める企業もありますが、こうしたやり方も有効でしょう。なお、長時間労働等を前提とした働き方、男女の役割に対するバイアスなど、男性も含めた働き方や意識変革がないと、本質的なジェンダー平等は進みません。この課題は、日本企業の組織文化の全体的改革を迫るものでもあります。

 
 
 

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