新型コロナウイルスの感染の広がりが止まりません。企業はこうした大きな社会的問題に対し、どう貢献できるかという視点を常に持つ必要があります。その際のキークエスチョンは、「自社の強みを如何に活用できるか?」です。また、製品・サービス、バリューチェーン、クラスターといったCSVの視点も重要です。それを問い、実践している企業が増えています。
製品・サービスに関する取組みとしては、 CO2からウォッカを作るスタートアップAir Co.が技術転用で手指消毒液を生産し寄付しています。Air Co.は、空気中からCO2を取り出し、太陽光などの再生可能エネルギーを使って水と混合し、純粋なエタノールを生産するという技術を持っているユニークな企業です。今般、エタノールは手指消毒液の主要な成分であることから、自社の技術やリソースを用いて、手指消毒液を生産し、寄付することとしました。
Air Co.のCEOで共同創設者のグレゴリー・コンスタンティン氏は、同社は社会を良くするという基本的使命に基づいて設立されたため、新型コロナウイルスのパンデミックに対して何ができるかを考え、同社の主力製品であるエタノールで、手指消毒液を作ることとしたそうです。そのために、生産能力の100%を手指消毒液の生産に切り替え、すべてを寄付するとのことです。
コンスタンティン氏は言っています。「すべての人と企業の小さな支援のひとつひとつが、こうした困難な時期に実を結びます。私たちはできることなら何でもやる覚悟です」。素晴らしいですね。
こうした動きは大手企業でも進んでおり、英酒造メーカーのディアジオもアルコールを使って衛生用品を製造し、寄付する取組みを進めています。
ユニリーバは、バリューチェーンに関する取組み、製品・サービス×クラスターの取組みを進めています。バリューチェーンに関しては、新型コロナウイルスの影響により資金繰りの苦しい中小規模サプライヤーを支援するため、通常より買掛を短く、売掛を長くしています。このために120億円を用意しています。また、製品・サービス×クラスターの取組みとして、地域コミュニティに対し、石鹸、消毒液、漂白剤、食品を総額120億円規模寄付することとしています。工場の生産ラインを改編し、消毒液を増産した上で、NGOと協働して地域の病院、学校等へ寄付します。また、60億円を、世界の保健機関に緊急援助している世界経済フォーラム(WEF)の「COVID Action Platform」に寄付します。
これからも、パーパスを持った企業による新型コロナウィルスに対する取り組み事例は、出てくるでしょう。「社会の困難な課題に対して自社は何ができるか?」こうしたときこそ、企業の本質が問われます。
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