top of page
検索

個人は、SDGsにどう貢献できるか?

  • takehikomizukami
  • 2019年7月15日
  • 読了時間: 3分

更新日:2019年7月27日

個人は社会にどう影響を及ぼすことができるでしょうか?以前にも書きましたが、基本的に個人は、生産者、消費者、市民の3つの顔を持っています。生産とは、「人間のニーズを満たす財やサービスを創り生み出す活動」で、狭義には、交換や取引の対象となる財・サービスの生産を意味しますが、広義には、自給自足的活動、家事なども含みます。消費とは、「人間の欲望を満たすために物財を費やす行為」で、寄付などもここに含まれるでしょう。ここでの考え方としては、投資も含めることとします。市民は、「共同体の構成員」で、市民活動は、共同体の政治、社会問題を解決する活動です。


すなわち、生産者は、主に労働力や知識を用いて経済的付加価値を生み出し、消費者は、主にお金を用いて消費・投資活動を行い、市民は、権利を用いて投票などで政治に参加するほか、時間や人的ネットワークを用いて地域コミュニティや環境を良くする活動などを実施します。


個人は、生産者としては、基本的にはSDG8「経済成長・雇用創出」に貢献していますが、それ以外にも、企業であれば、製品・サービスの特定に応じたSDGsへの貢献のほか、組織マネジメント、サプライチェーンマネジメント、さらには社会貢献活動を通じてSDGsに貢献することができます。組織の中の個人としての生産者ができることは限られるかも知れませんが、自分の担当領域を中心に、SDGsへの貢献と企業価値向上の両立を意識して活動することで、変化が生まれます。自分の担当以外でも、社内の啓発活動や社会貢献活動への参加など、いろいろとできることはあるはずです。


消費者としては、最近は、買い物を通じてSDGsに貢献する選択肢が増えています。FSC、MSC、ASC、RSPO、レインフォレスト、フェアトレードなど、様々な認証マークのついた商品が増えています。こうした商品を優先的に購入するほか、企業のSDGsへの取り組みを調べて、熱心に取り組んでいると感じられる企業から優先的に購入することもできるでしょう。また、エコバッグを使ったり、容器をリサイクルしたりするほか、環境に悪そうな商品をなるだけ買わないという選択もできます。最近私の周りには、週に1度月曜日は肉を食べないMeat Free Mondayを実践する人やペットボトル飲料を飲まない人もいます。その他、流通企業にSDGsへの取り組みについて投書することもできます。最初は面倒に感じられるかも知れませんが、ちょっとした意識付けを続けることで、習慣になっていきます。


また、お金を使ってSDGsに貢献するという意味では、寄付や投資を通じた貢献もあります。寄付は、形態や対象も増えていますので、自分の関心のあるSDGsの取り組みを行っている団体に寄付をしようと思えば、選択肢はあるはずです。投資については、ESG投資などの選択肢が増えているほか、個別に企業の取り組みを調べて応援の意図も含め投資することもできます。


市民としては、自治会の活動、子供のいる家庭では保護者会の活動、その他、ボランティア活動の機会もいろいろあるはずです。こうした活動を通じて、特定のSDGsに貢献できるほか、投票という市民の権利を使った貢献もあります。来週日曜は参院選の投票日ですが、各政党の公約をSDGsの関連で整理してみるのも面白いかも知れません。自分の関心あるSDGsの取り組みの関連で、投票先を選ぶこともできます。選挙は、お金をかけずに影響力を行使できる良い機会なので、使わない手はありません。


このように個人でも、いろいろとSDGsに貢献することができます。一人ひとりの影響力は限定的かも知れませんが、世界は、これまでも一人ひとりの意思決定、行動の積み重ねで変わってきました。これからもそれは変わりません。



 
 
 

最新記事

すべて表示
サステナビリティ目標達成のために避けるべき誤り-企業がサステナビリティ目標を達成する能力を損なう7つの指標

過去20年間で、企業はサステナビリティに対して野心的なコミットメントを行うことについては、大きく前進した。経営幹部の68パーセントがしっかりとしたサステナビリティ計画を策定していると答え、公開している大企業の89パーセントがネット・ゼロのコミットメントを行っている。しかし、...

 
 
 
トランプ関税の影響でサプライチェーンが変化した場合、サプライチェーンのESGデータ収集、スコープ3を含む脱炭素目標の開示や実践、人権デューデリジェンスなどにも影響が出てくる。

キーポイント ・    関税によるサプライチェーンのシフトは、バリューチェーンの影響に関するデータを収集する企業の能力に影響を与え、炭素開示目標のタイムフレームをシフトさせる可能性がある。 ・    サプライチェーンが場所を移動した場合、人権への取り組みや倫理的なビジネス慣...

 
 
 
能登の復興において「集約化」の議論があるが、生物多様性とのアナロジーから考えても、地域の多様性を安直な経済合理性だけで喪失させてはならない。

能登半島地震からの復興に関して、もとに戻すのではなく地域を集約化して新しいまちづくりをしていくべきとの意見がかなりあるようだ。人口減少、高齢化が進む過疎地をもとに戻すのは行政コストの面などから適当ではないとの考えだ。しかし私は、生物多様性のアナロジーで考える地域多様性の価値...

 
 
 

Comentários


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page