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企業のサステナビリティが踊り場に差し掛かる中、どう振舞うか

ESGファンドの閉鎖が相次ぐなど、ESGブームは終わったとの見方がある。ESGへの関心の高まりの流れに乗って、多くのESGファンドが立ち上げられたが、余り中身のないものが淘汰されるのであれば、良い動きとも言える。


ただし、後に本物が残ることが大事だ。ESGファンドが持つ視点は、大きく2つあると思う。


1つは、人的資本、知的資本など、いわゆる非財務資本を有効に強化・活用しているかどうかだ。こちらは、ヒトや知識を生かすことは従来から経営の成功要因だったが、ESGという新しい文脈で改めて注目されているものだ。なお、こちらはドーナツ経済的な世界を目指すサステナビリティの観点からは、本丸のイシューではない。


2つめは、脱炭素、ネイチャーポジティブなど、ドーナツ経済的世界に向けて新たな価値を生み出しているか、イノベーションを創出しているかどうかだ。サステナブルな世界に貢献するイノベーションを創出している企業、サステナブルな世界に向けてポートフォリオを転換している企業、そうした企業にお金が回るようなファンドが残れば素晴らしい。


米シティグループの市場部門ESGグローバル責任者、エルリー・ワイネット・シーリグ氏が「逆風下こそ、ESGを進化させるときだ」と言っているように、逆風が吹いているときこそ、本物が問われる


ESGファンドが淘汰される一方で、企業のサステナビリティも踊り場に差し掛かっているようだ。


大企業におけるサステナビリティ先進企業の代名詞とも言えるユニリーバが、今年7月にCEOに就任したハイン・シューマッハ氏のもと、「野心的なサステナビリティビジョンを見直す」と発表した


サステナビリティ業界のカリスマであるポール・ポールマン氏の後を継いだ前職アラン・ジョープ氏のもと、ユニリーバの業績は、同業他社に見劣りするようになった。シューマッハ氏は、業績を立て直すため、サステナビリティも企業価値につながるよう、イシューをフォーカスし、各ブランドにKPI設定の権限を委譲することなどを考えているようだ。


エネルギー業界では、こちらもサステナビリティ・トランスフォーメーションを成功させた企業の代名詞であるオーステッドの株価が、米国の洋上風力発電プロジェクトの遅延などにより大きく下落している。


特に、ユニリーバがどう動くかは注目だ。次の年次ミーティングで新たな気候トランジションプランを発表するということだが、今後、ユニリーバがサステナビリティを強力に推進したのは、ポール・ポールマンというカリスマ経営者がいた時代の一時的なものだったのかが明確になっていくだろう。しかし、仮にサステナビリティという差別化の旗頭を失えば、ユニリーバに未来はないようにも思う。


企業のサステナビリティが踊り場に差し掛かる中、どのように振舞うか、こちらも本物が問われる。

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