企業がSDGsに取り組む場合、大きく、製品・サービス、オペレーション、社会貢献活動での取り組みが考えられます。ビジネスと関わりの深い目標6「安全な水とトイレを世界中に」を例にとって考えてみます。
製品・サービスに関しては、所謂水ビジネスとして、水源開発、水の供給、インフラ維持、下水処理、水の再利用、海水淡水化などに関してビジネス機会があります。日本企業は、水ビジネスに関して、海水淡水化に使われる逆浸透膜、高圧ポンプをはじめ世界で優位性を持つ技術をたくさん持っており、部品や装置などのビジネスを展開しています。一方、統合的な水ビジネスは、水メジャーなど海外企業が展開しています。
オペレーションに関しては、製品生産過程で大量の水を使用するメーカーを中心に、水の効率利用、再利用、浄化などの取り組みが進められています。世界の水の大部分は、農業(約70%)および工業(約20%)で使われています。農業では、点滴灌漑など水を効率利用する取り組みが進められています。工業でも、水利用の削減、再利用、原材料からの水抽出などの取り組みが進められ、取水量ゼロの工場なども登場しています。こうした取り組みにより、水利用コストを大幅に削減している企業もあります。
社会貢献活動ついては、飲料企業が、雨水吸収、水質浄化、河川流量調節などの機能を持つ森林を整備する水源涵養活動を行っている例があります。水を大量に使用する飲料企業は、水資源に依存しており、水資源を涵養して美味しい水を育む取り組みは、商品の差別化やブランティングに貢献します。地域コミュニティとも連携しながら、工場排水先河川の生態系保全の取り組みを行っている例もありますが、こちらは、地域との関係構築、地域からの信頼獲得に貢献しています。
また、製品・サービスと社会貢献のハイブリッドの活動もあります。途上国で、簡易的な水浄化装置により安全・安価な飲料水のアクセスを可能としている例、簡易トイレの展開により衛生事情を改善している例などがあります。これらは、短期的な収益を得られるものではありませんが、長期的な市場開拓や現地でのブランディングには貢献します。先進国での商品売上の一部を途上国で安全で衛生的な水を提供する活動に寄付するコーズ・リレイテッド・マーケティングの取り組みもあります。
その他のSDGsの目標に関しても、製品・サービス、オペレーション、社会貢献活動についての取り組みが考えられます。自社のビジネスモデルや強み、自社の戦略や経営にとっての意味合いを考えながら、すべての企業がSDGsにどう貢献し、それをビジネスと両立できるか、考えられるはずです。
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