top of page
検索
  • takehikomizukami

企業が教育で価値を創造する「教育CSV」の3つの方法

教育は、社会の発展の基礎であり、人々が自らの人生を切り拓くための基盤となるものです。企業が社会価値を創造しようとする場合、教育に対する貢献という視点は重要ですが、その取り組みには3つの方向性があります。


3つの方向性とは、①エドテック、②バリューチェーン、③市場創造ですが、それぞれCSVの製品・サービス、バリューチェーン、ビジネス環境の3つの基本アプローチに関連します。


① エドテック(EdTech)は、EducationとTechnologyの頭文字を取った、ICTを活用したサービスのことです。ハーバード、スタンフォードなどの有名大学の講義が無償で受けられる「MOOC(ムーク)」など、エドテックにより、幅広い人々が世界中の優れた教育にアクセスすることが可能となっています。こうした新たな教育サービスを成長市場と捉え、ICT企業などが参入しています。例えば、教育アプリを展開し、データに基づき教育効果を高めるよう進化させるなどが行われていますが、ARやVRなどの活用も含め、さらなる展開が期待されています。


② バリューチェーンは、自社およびサプライチェーンを含むバリューチェーンに関わる人材に教育を提供することで、バリューチェーンの生産性を向上するものです。特に途上国に生産拠点を構える企業では、現地人材の能力・意識が生産性向上の課題となっています。アジアの日系企業を対象とした調査によると、2社に1社が「現地人材の能力・意識」を問題としているとのことです。そのため、トヨタがインドで「トヨタ工業技術学園」を設立するなど、企業によっては、自ら学校を設立して、一般教養から専門教育まで実施しているところもあります。これにより、現地人材の教育レベルを底上げし、バリューチェーンの生産性を向上しています。


③ 市場創造は、自社ビジネスの顧客が持つべき知識や技能を、教育を通じて普及することで、市場を創造することです。楽器やスポーツ用品を展開する企業が、音楽教室やスポーツ教室を通じて、自社の楽器やスポーツ用品を使う人を増やすなどが分かりやすい例です。シスコは、教育機関とともにインターネット技術者を育成するための教育プログラムである「ネットワーキングアカデミー」を、途上国を中心に世界165カ国、1万カ所で展開していますが、グローバルICT企業が、世界中でICT教育を展開しているのも、同じ文脈で考えられます。ICT機器を使いこなす人が増えれば増えるほど、ICT機器やICTサービスを展開する企業にとっては、市場が拡大することになります。そのため、グローバルICT企業は、世界各国で、教育機関とも連携しながら多くのICTユーザー、ICT技術者を育成しています。なお、こうしたICT教育の展開は、市場創造だけでなく、ICT技術者として自社ビジネスを支える人材の育成にもつながるというバリューチェーン強化の側面もあります。これにより、ICT技術者不足が事業拡大のネックとならないようにしています。


企業が教育をビジネス機会、競争力強化の機会と考える視点を広く持つことで、多くの人が必要な教育を受けることができ、それが地域の発展と各人の幸福につながっていくポテンシャルは、まだまだあると思います。

閲覧数:65回0件のコメント

最新記事

すべて表示

自社の強みを生かしたCSVビジネス創出に向け、社会課題の解決策が生み出す次の課題を考える。EVの事例から。

CSVは、未解決の社会課題にビジネスを通じて解決策を提示するものです。社会課題に関する課題と解決策の新しい組み合わせを提示するものでもあります。 企業が社会課題と解決策の組み合わせを考えるにあたっては、社会課題に自社の強みを当て嵌めて製品・サービスを生み出すことがまずは基本となります。自社の強みをもって差別化できるものでなければ、製品・サービスのCSVが、新規事業として成功する可能性は小さいでしょ

バリューチェーンのCSVの好事例。ネスプレッソによるコンゴ民主共和国のコーヒー豆産業再生支援

社会価値と企業価値を両立させるCSV(Creating Shared Value)の基本アプローチは、製品・サービス、バリューチェーン、ビジネスエコシステム(クラスター)の3つのCSVです。このうち多くの企業で実践できるポテンシャルがあり、検討してほしいのがバリューチェーンのCSVです。 そのバリューチェーンのCSVの生みの親とも言えるネスレグループのネスプレッソが、最近も秀逸な取り組みを始めてい

サステナビリティ経営の基本「主要なサステナビリティ動向とその影響を継続的に把握する」

サステナビリティ経営の基本は、3つの基本原則を理解・共有したうえで以下に取り組むことです。 1.主要なサステナビリティ動向とその影響を継続的に把握する。 2.自社事業、バリューチェーンと主要なサステナビリティ課題との関係性(正の影響、負の影響、依存)を把握しマテリアリティ(重要課題)を特定する。 3.マテリアリティを特定した理由(WHY)にもとづきサステナビリティに関わる戦略を策定する。 4.サス

Comentarios


bottom of page