top of page

不確実性の中に確実性を見出し、ビジョンを描く

  • takehikomizukami
  • 2021年5月23日
  • 読了時間: 2分

VUCAなどと言われ、先が見通せない時代となっていると多くの人が考えている。確かに、脱炭素の動き一つを取ってみても、再エネが主流になるのか、水素が主流になるのか、CCUSが進化して化石燃料が存続するのか、小型モジュール炉で原発が復権するのか、核融合などの新技術の急速な進化はあるのかなど、不確実性が高いように思える。


しかし、不確実性が高いからと言って何もしなければ、企業として負け組になるのは、確実だ。また、どうせ考えてもしょうがないなどと、やみくもに勘で前に進むのは、不確実性をさらに不確実にする無謀な行動だ。不確実な時代に、企業はどう行動すべきだろうか。


まずなすべきことは、不確実性の中に確実性を見出すことだ。不確実と言われているものの中にも、確実またはほぼ確実と考えられることは沢山ある。脱炭素関連で考えてみよう。


世界的に脱炭素の取り組みが進むことは、ほぼ確実だ。世界の研究者は、気温上昇が人為的な温室効果ガス排出によることにほぼ同意している(IPCCは95%以上としている)。また、世界の主要国が2050年までのカーボンネットゼロにコミットしており、この流れが続くことはほぼ確実だ。


また、電気が今後も重要であることは確実だ。デジタル化の進展に加え、EV化が進み、水素が普及するとしても、水素の電気分解が必要となる。そうすると、既に技術が確立し低コスト化が進んでいる太陽光や風力が今後も広がることもほぼ確実だ。地球に降り注ぐ膨大な太陽エネルギーを使用することは筋がいい。LCAでの環境負荷や不安定性など、解決すべき課題はあるが、解決の方向性はほぼ見えている。


ただエネルギートランジションに時間がかかることも、ほぼ確実だ。多くの国・企業は、既存の設備をできる限り生かそうとするだろう。雇用等への影響を考えても、エネルギー転換は、時間をかけて進むことになるだろう。


こうした不確実性の中の確実性をしっかり洞察することが重要だ。そして、本当に不確実なものと確実性の高いものをしっかり見極め、さらに重大な不確実性の振れ幅を理解する。それが、シナリオ分析だ。確実性の高いもの、不確実性の幅の理解が進めば、シナリオも精度が上がっていき、意思決定しやすくなる。


不確実な時代の企業には、不確実な中でも確実性や未来の幅を見極め、自社の強みを掛け合わせてビジョンを描くことが期待される。そうしたビジョンを如何に早く明確に描けるかが、今後の企業の命運を握ることになるだろう。

 
 
 

最新記事

すべて表示
「CSOが影響力を高めるための4つの方法」:予算や権威の限られるChief Sustainability Officerは、どのように影響力を高められるか?4つの方法を示します。

サステナビリティ部門の予算は、通常、マーケティングや研究開発(R&D)部門の予算のほんの一部に過ぎない。どうすれば目標を達成できるだろうか?TRELLISの記事を紹介します。 主なポイント: ・サステナビリティ担当者のうち、企業戦略に大きな影響力を持っていると回答したのは約4分の1にとどまる。 ・大きな変革は、権限と同じくらい影響力によってもたらされるものであり、当初は権限が限られているCSO(サ

 
 
 
無形資産/非財務資本を評価し融資する制度がスタート。新しい制度が広く活用され、サステナビリティ経営を促進することに期待

先般、「企業価値担保権」制度が始まりました。事業の将来性や技術力といった目に見えない価値を担保に、銀行などの金融機関が企業に融資する制度です。事業の将来性や技術力といった目に見えない価値を担保に、銀行などの金融機関が企業に融資する制度です。 銀行が企業に融資する場合、土地や建物などの有形資産を担保として設定するのが主流ですが、今後は知的財産、ブランド、顧客基盤などの無形資産を含む事業全体を担保にす

 
 
 
レアアースリスクがサーキュラーエコノミーを加速し、イラン戦争がカーボンニュートラルを加速する。地政学とサステナビリティが絡み合う時代には、サステナビリティ経営にもより高度なインテリジェンスが求められる。

サステナビリティ経営においては、“フォーカシング・イベント(Focusing Event)”への感度の高さが重要だ。 フォーカシング・イベントとは、マスコミや市民、政策担当者が急速に社会課題に注目し、対策を進めるきっかけとなる出来事のことで、日米の政権交代なども含む。 サステナビリティを促進することにつながるこれまでのフォーカシング・イベントとしては、以下のようなものがあった。 2018年、鼻にス

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page