top of page
検索
  • takehikomizukami

ユニリーバCEOの新型コロナ対策のコミットメント

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、どう立ち振る舞うかが、自社の掲げるパーパスが本物であるかを測る試金石となっています。パーパスが根付いている企業は、社員を守ることを前提としつつ、自社の強みを活かした衛生用品・医療機器の提供、サプライチェーン支援などを迅速に行っています。その中でも、ユニリーバは、ベストプラクティスと言えるでしょう。1か月前にすでに、CEOのアラン・ジョーブ氏が以下のコミットメントを発表しています。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、人々の日常が失われた。疾病や経済活動の停止に非常に多くの人々が苦しんでいる。ユニリーバを代表し、そうした人々に深く同情の意を表するとともに、新型コロナウイルスと勇敢に戦う医療従事者、救急隊員などに感謝したい。

楽観的になることはできないが、この危機から出来る限り早く脱することができるようスピードとスケールを持った取組みが動き始めている。我々は、感染の拡大を抑えるソーシャルディスタンスに真剣に取組むべきだが、これは物理的距離を取ることであり、感情的距離を取ることではない。ソーシャルメディアでも知ることができる人々の優しさ、工夫、精神を示す多くの小さな活動を称え、そうしたことを心掛けるべきだ。

新型コロナウイルスのワクチンが開発されるまでは、石鹸が最初の重要な防衛線となる。手を徹底的に頻繁に石鹸で洗うこと、石鹸や水がないときは消毒剤を使うことが、感染の拡大を抑える最も効果的な方法である。

世界最大の石鹸会社として、我々には世界中で石鹸をより早く手に入れられるようにする、社会的、医療的、道義的責任がある。我々は、専門知識を活かして、どのブランドを使うかにはかかわらず、人々に効果的に手を洗うにはどうすべきか教えなければならない。そこで、我々は、新型コロナウイルスのパンデミックと闘い、命と生活を守るための取組みをここに発表する。

まず、消費者、コミュニティに向けて、1億ユーロ分の石鹸、消毒剤、漂白剤および食品を無料で提供することにコミットする。その半分は、グローバルで保健組織を緊急支援する世界経済フォーラムのCOVIDアクションプラットフォームに寄付する。残りの半分は、我々が実施する製品寄付、パートナーシップ、手洗い教育プログラムで提供する。米国、インド、中国、英国、オランダ、イタリアその他の多くの国で、取り組みがすでに進められている。例えば、我々の石鹸ブランドであるライフボーイのチームは、数百万の無料の石鹸を最も必要とされているところに提供すべく頑張っている。ユニリーバチームの無私の精力的な努力のお陰で、製品を供給し続けることができている。

我々は、顧客、サプライヤー、従業員といった、経済的支援を必要としている他のステークホルダーも助けたい。顧客とサプライヤーに対しては、生活支援のため、5億ユーロのキャッシュフロー救済を提供することを決めた。脆弱な中小サプライヤーへの早期の支払い、ユニリーバのビジネスに依存する小規模小売店への資金融資によりこれを実施する。

また、労働者のウェルビーイングは、最も優先度の高いものであり、正規、非正規、その他を問わず、ユニリーバに関係する労働者は、経済が悪化しても、役割が果たせない状況になったとしても、3ヵ月は賃金を保証する。

社会の全員がこの新型コロナウイルスというチャレンジを克服しようとする中、我々は我々の役割を果たし、共に戦う。

危機が起こったとき、迅速にこうした明確なコミットメントを発表できるのは素晴らしいことです。ユニリーバのサステナビリティを牽引してきたポール・ポールマン氏退任の後、サステナビリティの取組みがスローダウンする恐れもあるかと思っていましたが、その心配はなさそうです。

閲覧数:118回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サステナビリティ推進にあたっての基本の1つは、バリューチェーン全体で考えることです。企業が新たな取り組みを進める場合は、グローバルの3大サステナビリティ課題である気候変動、生物多様性/自然資本、人権を中心に、バリューチェーン全体の環境・社会的影響を考慮する必要があります。 企業の取組みもそうですが、政策においても、バリューチェーン全体の影響を考慮する必要があります。特に、脱炭素の取組みにおいては、

徳島の高校でコオロギパウダーを使った給食を試食で出したことをきっかけに、昆虫食が大きな話題となっています。Twitterなどでは反対意見が圧倒的に多く、理由としては、生乳廃棄や人口減少などの国内事情を踏まえてたんぱく質不足対策としての昆虫食は必要ない、アレルギーなどのリスクがあるといったことがあげられています。 昆虫食開発の背景にあるのは、世界の人口増加および途上国の経済発展に伴い食肉需要が増加す

サステナビリティと経営、非財務と財務を統合して情報開示するツールとして、統合報告がある。統合報告は、サステナビリティ経営に取り組む原則3「自社事業、バリューチェーンに影響を及ぼす課題に対して、戦略的に対応する」を中心に、社内外のステークホルダーにサステナビリティに取り組む経営的意味合いを伝えるために活用すべきものだ。 統合報告の作成プロセスも、経営層をはじめ、社内の様々なステークホルダーとコミュニ

bottom of page