top of page
検索
  • takehikomizukami

マテリアリティ特定で、「ステークホルダーにとっての重要度」をどのように評価するか?

前回は、マテリアリティ特定における「自社にとっての重要度」評価の考え方を示しました。「自社にとっての重要度」評価は、そのプロセスを通じて、経営層や事業部門長などサステナビリティ経営推進のキープレーヤーに、サステナビリティ課題の自社経営にとっての意味合いを理解してもらうという意味でも重要で、サステナビリティ経営の一丁目一番地と言えます。


一方で、社会・環境のサステナビリティの観点からは、企業が社会・環境にどのような影響を与えているかを客観的に理解し、その影響度に応じて適切に対応することが求められます。


世の中の長期トレンドとしては、企業の利益追求と社会・環境のサステナビリティを両立させる方向に政策や市場が変化すると見込まれ、社会・環境に悪影響を及ぼしている場合は長期的なリスクとなり、好影響を与えている場合は長期的な機会になると想定されます。すなわち、長期的には、「社会・環境にとっての重要度」は、「自社にとっての重要度」と一致することとなります。しかし、そこには時差があるので、「社会・環境にとっての重要度」と「自社にとっての重要度」は、別の観点の評価と見て良いでしょう。


「ステークホルダーの重要度」とした場合、通常、ステークホルダーには、株主・投資家、顧客、従業員、取引先、地域社会などが含まれますが、サステナビリティ経営においては、環境や将来世代も含みます。この環境や将来世代にとっての重要度が「社会・環境にとっての重要度」と考えて良いでしょう。


株主・投資家にとっての重要度は、自社にとっての重要度=企業価値向上にとっての重要度とした場合、自社にとっての重要度と一致します。


顧客にとっての重要度は、顧客ニーズと直結しており、「自社にとっての重要度」に大きく影響します。


従業員にとっての重要度は、最近人的資本が注目されているように、企業の競争力、イノベーション創出力に関連し、「自社にとっての重要度」に影響します。


取引先、地域社会などにとっての重要度は、企業のビジネスモデルによって影響の度合いが異なり、時間軸も少し長いものになることが多いですが、「自社にとっての重要度」に影響するものです。


こうして考えると、マテリアリティ評価において、株主・投資家、顧客、従業員、取引先、地域社会などにとっての重要度を評価することは意味がありますが、これらは、自社ビジネスへの影響、企業価値への影響の観点から「自社にとっての重要度」評価において考慮するのが良いのではないかと思います。


マテリアリティ・マトリックスは、各サステナビリティ課題に関して、「自社バリューチェーンの影響の大きさ」、「課題に取り組んだ場合の自社ビジネスの影響の大きさ」

といった観点から「社会・環境にとっての重要度」を評価し、それと「自社にとっての重要度」評価で描くのが良いのではないかと思います。


いずれにせよ「各ステークホルダーにとっての重要度」を正しく理解し、「社会・環境のサステナビリティ」、「自社のサステナビリティ」の観点から、その影響を精査することが必要です。なお、「ステークホルダーにとっての重要度」は、バイアスがかからないよう、あくまでステークホルダーの視点で、できれば客観的なファクトをもとに評価する必要があります。


閲覧数:71回0件のコメント

最新記事

すべて表示

地域こそ気候変動への適応に目を向けるべき

EUの気象情報機関によれば、2023年の世界の平均気温は、1850年の気象観測開始以来もっとも暑く、産業革命前の1850年~1900年平均に比べ1.48℃高かったそうだ。産業革命以降の温度上昇を1.5℃以内に抑えようというパリ協定の目標を超える寸前だ。 パリ協定の目標達成に向けて、世界は2050年までのカーボンニュートラルを実現しようと様々な取り組みを進めている。しかし、痛みを伴うカーボンニュート

「デコ活」を意味のある取り組みにするには何が必要か

「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)というものが始まっている。2030年にGHG排出46%(家庭部門66%)削減、2050年カーボンニュートラルという目標実現に向けて、啓発活動により消費者や企業の意識変革を促すとともに、デコ活応援団(官民連携協議会)というものを通じて民間資金を導入して、脱炭素に向けた製品・サービスを社会実装していこうとするものだ。デコ活推進事業に令和6年

非ディスラプティブな市場創造による社会課題の解決

「ブルーオーシャン戦略」のW.チャン・キム、レネ・モボルニュ氏がHBRの論文で「非ディスラプティブな市場創造」の考え方を紹介しています。 既存市場を破壊し新たな市場を拓くディスラプション(破壊)は、クレイトン・クリステンセン氏の「イノベーションのジレンマ」以降広く使われるようになり、イノベーションと同義と見なされています。 これに対して非ディスラプティブな市場創造は、技術的イノベーションなどの従来

bottom of page