気候変動、プラスチック廃棄の急増など、構造的課題に対応するためには、ビジネスにも構造的変化が求められます。Sustainable Brandsの記事をベースに、ビジネスが本物の社会インパクトを生み出すためには何が必要か、6つの方法を示します。
① 人々の考えを変えるのではなく、人々の行動変化を促すことにフォーカスする
人々の考えを変えるのは、容易ではなく、時間がかかる。人々の考えを変えることにリソースを使うのではなく、人々の行動が自然に変わるような取り組みに注力すべき。テラサイクルのLoopは、これが製品デザインの未来だというメッセージを発信し、人々が魅力を感じるようにしている。デザインを通じたメッセージは、人々にサステナビリティに向けた行動変容を促すポテンシャルがある。
多くの人々は、正しいことをするというより、自らの欲求を満たすために製品やサービスを選択する。そうした人に訴求する必要がある。EVは、従来の自動車より石油消費を減らすというだけでなく、効率的であるという認識があるために広がりつつある。
② サステナビリティをシンプルで分かりやすくする
サステナビリティは、知的でアカデミックなものというイメージがあるが、メインストリームのTVのようにシンプルでクリアな言葉でコミュニケーションしていく必要がある。サステナビリティの世界では、分析的で複雑なものが尊重されるが、コミュニケーションではそれを捨て、一般の人々、ビジネス、政府に対して、広く問題と解決策について、明瞭で容易な言葉でコミュニケーションしなければならない。
海洋プラスチックのようなトピックは、映像に訴え、人々の感情的な反応を引き出すため、分かりやすい。しかし、ネガティブな映像や罪の意識だけでは、人々を良い行動を促すことはできない。ごみで埋まったビーチのひどい状況、プラスチックで苦しむ動物、水道水中のマイクロプラスチックの研究結果だけでは、消費者の行動を変えるには十分ではない。
サステナビリティを促進するには、イノベーションとともに、シンプルさ、便利さ、分かりやすさを追求していく必要がある。
③ 失敗はない。レッスンのみがある
失敗を恐れて、よりサステナブルなビジネス、ポジティブインパクトを生み出すためのイノベーションに向けた前進を止めてはならない。人々の「それは無理だ」という言葉に、最初の機会をつかめる可能性を感じるべき。サーキュラーエコノミーは、無理だというアイデアを強く追及することで、広がった。
ポイントは、新しいアプローチをイノベーションし創造すること。できないと言われたとき、それは正しい方向に向かっているサインだと考え、進み続けるべき。通常のやり方で失敗するならば、重要なことを学んだ証拠である。ユニークなソリューションはリスクなしでは生まれない。リスクを取ることが進歩する方法である。
④ お金は大事
何故、NGO/NPOが我々の問題を解決してくれると期待するのか。6時間で2人のビジネスパーソンが3億ユーロをノートルダム寺院の修復に集めることができるなら、ビジネスやお金の大事さを知っているはず。
営利企業は、変化を創造するためのキャッシュ、スピード、グローバルな影響の3つを持つユニークなポジションにいる。ダノンとP&Gを合わせると、大部分の国家政府より地球に対してインパクトとパワーを持つ。気候に対する緊急の要請に応えるためには、ビジネスを、「ネガティブな影響を軽減する」から「ポジティブな影響を生み出す」にシフトし、「利益」が社会および環境のベネフィットを含むよう再定義する必要がある。
⑤ 一つはすべてのために、すべては一つのために
気候変動、海洋プラスチック、生物多様性の喪失といった個別課題は、例外なく、モノの購買という一つのことに結びついている。我々は、根本的にアプローチを変えなければならない。モノのライフサイクルおけるすべての部分で対応が必要。
すべてのステークホルダーは、重要な役割を担っている。政府は、害を及ぼす製品を規制し、害のない製品にインセンティブを与えるべき。製造者は、害のある製品の製造を止めなければならない。流通業者は、害のある製品の販売を止めなければならない。パーム油では、これが成功している。すべてのビジネスがすべてのステージでインパクトを与える義務がある。最後に、消費者は、苦労して稼いだお金で害のある製品を選択し購入するのを止める必要がある。購買行動は、投票行動と同じ。消費者の購入は、賛成投票であり、多くの選択しないというオプションは反対投票となる。
これはシンプルだが難しいこと。しかし、ライフサイクルすべてに問題があり、多くのステークホルダーが対応する必要がある。自らの役割の中で、何をすべきか考え行動する必要がある。
⑥ 大胆なビジネスの行動が必要
従来型ビジネスは、問題があり変革する必要がある。これを受け入れ、前に進み、まだ時間がある間に、変革のためにパワーを使うべき。まだ準備できていない、他にやることがあるなどと言うのを止めなければならない。
今やビジネスは、製品を売るだけでなく、ポジティブなインパクトを生み出す必要がある。サプライチェーンでネガティブインパクトを軽減するだけでは不十分である。
2018年のエデルマンのブランドスタディによれば、多くの人々は、ブランドに、アクティビストや政府の対応を超えて、社会のために行動することを期待する。同スタディでは、企業は今や政府より信頼されており、半数以上の消費者は良きことを行うブランドを求め、優先的に支援するとしている。
人類社会を持続可能なものとするには、ビジネスの新しいモデルの構築と、それに向けた大胆で野心的な行動が求められている。サステナビリティリーダーには、そうした行動を十分なスピード感と緊急性を持って行うことが求められている。
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