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パーパスを本物にするには、CEOはどう行動すべきか?

「自社が社会にどのような価値を生み出すか」、「人々の生活にどのような違いを生み出すか」など、企業が自社の存在意義を示すパーパスを掲げることは、「企業の役割は、利益を通じて富を生み出し、社会を豊かにすること」というパラダイムに限界が見え、企業が環境・社会課題に取り組むことが新しいノームになっている今の時代に、重要性が増しています。


パーパスは、人材を獲得する、顧客ロイヤルティを高める、長期投資家に選好される、といった面で重要となっていますが、特に、ミレニアル・Z世代の意識変化もあり、目的意識を持った人材の価値を引き出し、人的資本を強化するために重要度が増しています。


そうした背景もあり、パーパスを掲げる企業は増えていますが、パーパスが本当に根付いていると言える企業は、少ないのではないでしょうか。それらしいパーパスを掲げても、社員やステークホルダーが腹落ちし、共感し、行動に反映されるものでなければ、意味がありません。


”The Purpose Revolution: How Leaders Create Engagement and Competitive Advantage in an Age of Social Good”(「パーパス革命」)という書籍で、CEOがパーパスを企業に根付かせるためにどのような行動をすべきか、4つの方法が示されています。


①メッセージの比率を変える

CEOが社内で発するメッセージは、重要です。CEOが発するメッセージのうち、パーパスに関するものと、利益に関するものの比率がどうなっているかを変えるだけで、社内へのパーパスの浸透度が変わります。「パーパス革命」著者らの調査によれば、多くの企業において、CEOは利益について語ることが、パーパスについて語るよりも4倍多くなっています。ある企業で、利益に関するメッセージとパーパスに関するメッセージの比率を同じにしたところ、その後4カ月で、従業員の意識が大きく変わり、会社は利益以上に重要な価値に基づき活動していると認識するようになったそうです。CEOは、自らのメッセージが従業員にどう影響するか、より意識する必要がありそうです。


②パーパスを個人的なものとする

CEOが自らの意思、自らの経験に基づきパーパスを語れば、従業員はそれが本物であると感じます。CEO自らが、途上国で見た、ビジネスが社会に与える影響を語ったり、自らの個人的パーパスと結び付けて企業のパーパスを語ることで、従業員の心に訴えかけることができます。


③質問を変える

メッセージと同様に、CEOが発する質問にも注意が必要です。「測定できることは、実行できる」とされますが、「質問し、関心を集めるものは、実行できる」というのも真実です。例えば、職場の安全風土は、職場のリーダーが、安全について如何に口にして質問しているかで分かります。安全な航空会社として世界的に有名なカンタス航空では、リーダー層が、常に、安全について語り、質問しています。パーパスについても同様で、3MのCEOインゲ・チューリン氏は、現場に行くと必ず、最初にサステナビリティについてどのような活動をしているかを質問することにしているそうです。


④すべての意思決定をパーパスに基づいたものとする

企業のすべての意思決定は、パーパスに基づいたものであるべきです。特に、企業が重要な意思決定をパーパスに基づき行うとき、パーパスは本物となります。ホールフーズの元共同CEOウォルター・ロブ氏は、ホールフーズでは、サステナブルでないシーフードの販売を止めると意思決定したときがそのときであったとしています。ジョンソン&ジョンソンのタイレノール事件での意思決定CVSのたばこの販売中止の意思決定などは、パーパスが会社に真に浸透するきっかけとなっています。


CEOは、意識決定にあたり、パーパスを判断基準とすることを、常に心掛けておく必要があります。


最後に、CEOは、チーフ・パーパス・オフィサーであるべき。

コカ・コーラの元CEOのムータ・ケント氏は、「CEO自らがサステナビリティのヘッドでなければならず、他の誰にも委ねることはできない」と言っていますが、企業の各リーダーがパーパスに基づくカルチャーを醸成するとしても、CEOの声ほど影響のあるものはありません。多くのCEOは、パーパスの重要性を理解しています。しかし、CEOは、自らのメッセージや質問が、社内のパーパスの浸透にどう影響するかを、もっと意識する必要があります。様々なコミュニケーションや意思決定の積み重ねにより、パーパスを本当に根付かせることができます。それは、CEO自らの仕事であり、他の誰にも委ねることが出来ません。CEOは、チーフ・パーパス・オフィサーであるべきです。

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