以前、三人の石切り職人についてブログを書きました。「お金のために(仕方なく)」働く人、「自らの成長や、専門性を発揮し認められるために」働く人、「自らと組織の目的を実現するため」に働く人、それぞれを石切り職人という比喩で表現しています。
この石切り職人の比喩は、企業・組織にも当てはまるのではないかと思います。「売上・利益」のみを重視する企業、「特に社会性を意識しない、自らのミッション」を重視する企業、「社会における役割としてのミッション」を追求する企業があると思います。3つ目の「社会における役割としてのミッション」は、最近「パーパス」として注目されています。
当たり前のことではありますが、企業や資本主義は、社会を良くするため、人々の生活を良くするために発明された仕組みです。その中心的な目的は、社会や人々に経済的な豊かさをもたらすことです。資本主義において、企業が利益や成長を求めることで、「神の見えざる手」を通じて、社会や人々の生活は全般的には豊かになっています。しかし、まだまだ解決すべき課題は多くあり、最近は、格差や環境問題など企業活動や資本主義のあり方に根差した課題も顕在化しています。今後、より良い社会を創っていくためには、企業は単に利益や成長だけなく、社会全体のことも考える必要があるということが共通認識となってきており、パーパスが注目されるようになっています。
しかし、企業が社会における役割を考える場合、どういう社会を築くべきかという共通認識がなければ、方向性にバラツキが出て、全体として良い方向に向かない恐れがあります。社会全体としてのあるべき姿についての共通認識、人類全体としてのミッションが必要です。それがSDGsです。
SDGsができたことで、パーパスも定めやすくなっていると思います。「社会における役割」を「SDGsへの貢献」という文脈で考え、語ることができるようになりました。これからパーパスを改めて検討し、掲げる企業も増えるかと思いますが、SDGsとの関係は考慮すべきです。
SDGsに基づくパーパスを掲げる企業が増え、その中でSDGsやパーパスと自らの仕事を関連付けて考えて行動する3人目の石切り職人が増えれば、経済中心の時代から、人類はさらに進歩することが出来ると思います。
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