top of page
検索
  • takehikomizukami

ドローダウンでそれぞれの立場で気候変動ソリューションを考える。−富山県氷見市の場合

ドローダウン」日本語版に一通り目を通しました。オリジナルが2017年初期に発行されているため、内容や数字にはやや古いと感じる部分もありましたが、やはり気候変動へのソリューションへのヒントが満載でした。各人がそれぞれの立場で、気候変動に対して何ができるかを考えるためのバイブルとなる書籍です。


私の故郷の富山県氷見市という地域軸で考えると、以下のような可能性が見えてきます。


「竹」:私の実家の山には竹林があり、春にはたけのこが良く採れます。氷見には、竹林が多いのですが、この竹が、気候変動対策に役立ちます。竹は成長が非常に早く、どの植物にも負けないほど速く大気中の炭素を取り込みます。また、竹は強度が高く、建材、紙、家具、かごやざる、自転車、配管などに使われるほか、炭、バイオ燃料、飼料などとしても使われます、竹の栽培を増やし、様々な用途に活用することは、有効な気候変動対策となるとともに、地域創生につながる可能性があります。


「稲作法の改良」:水田は、メタン生成菌にとって理想的な環境であるため、水田から温室効果ガスのメタンが大量に発生し、稲作は農業由来の温室効果ガス排出量の10%以上を占め、世界全体のメタン排出量の9~19%を占めるとされます。イネ強化法(SRI)では、成長期の途中で水を抜くなど断続的に灌水することで、メタン排出量を大幅に減らすことができ、その上、収量も大きくアップするとのことです。氷見でも稲作が広く行われていますが、今後、気候変動への取り組みが注目される中、早めに取り組むことは、メリットが大きいでしょう。


その他、農業に関しては、土を耕すことや農薬を減らすことで、より多くの炭素を隔離する環境再生農業/リジェネラティブ農業も注目されています。これも今後さらに注目されるのは間違いないので、早めに取り組むとより価値が高まるでしょう。


また、氷見と言えば寒ブリをはじめとする海産物が有名ですが、海にも大きな可能性があります。以前、「海藻養殖の可能性。環境と地方創生の視点から」という記事を書きましたが、生育が早く大量に炭素を固定する海藻は、気候変動対策としても注目されています。さらに、ある種の海藻は、大量のメタン排出源となっている牛のげっぷを減らす効果があるとされ、バイオ燃料としても活用できます。「ドローダウン」では、今後注目の解決策「海洋パーマカルチャー」「牛と海藻の意外な関係」「環境再生型養殖」として、海藻を中心とする海洋における気候変動対策が紹介されています。これらは、氷見に適した気候変動対策ソリューションです。


海や山、自然が豊かな氷見ということで、農業・海洋関係が中心になりましたが、それぞれの立場で可能性のある気候変動対策を考え、それぞ実践することが、カーボンゼロ社会を実現するために求められていることでしょう。

閲覧数:189回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サステナビリティ推進にあたっての基本の1つは、バリューチェーン全体で考えることです。企業が新たな取り組みを進める場合は、グローバルの3大サステナビリティ課題である気候変動、生物多様性/自然資本、人権を中心に、バリューチェーン全体の環境・社会的影響を考慮する必要があります。 企業の取組みもそうですが、政策においても、バリューチェーン全体の影響を考慮する必要があります。特に、脱炭素の取組みにおいては、

徳島の高校でコオロギパウダーを使った給食を試食で出したことをきっかけに、昆虫食が大きな話題となっています。Twitterなどでは反対意見が圧倒的に多く、理由としては、生乳廃棄や人口減少などの国内事情を踏まえてたんぱく質不足対策としての昆虫食は必要ない、アレルギーなどのリスクがあるといったことがあげられています。 昆虫食開発の背景にあるのは、世界の人口増加および途上国の経済発展に伴い食肉需要が増加す

サステナビリティと経営、非財務と財務を統合して情報開示するツールとして、統合報告がある。統合報告は、サステナビリティ経営に取り組む原則3「自社事業、バリューチェーンに影響を及ぼす課題に対して、戦略的に対応する」を中心に、社内外のステークホルダーにサステナビリティに取り組む経営的意味合いを伝えるために活用すべきものだ。 統合報告の作成プロセスも、経営層をはじめ、社内の様々なステークホルダーとコミュニ

bottom of page