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スポーツにはサステナビリティを促進する力がある

takehikomizukami

東京オリンピックが始まりました。新型コロナの影響による延期前は、サステナビリティに配慮した調達コードを示すなど、サステナビリティを促進する大会となる期待もありましたが、逆に人権への配慮不足で批判される状況となっています。


しかし、国連が「スポーツは持続可能な開発における重要な鍵となるものである」としているように、スポーツは、サステナビリティを促進する力を持っています。SDGsとの関係で言えば、SDG3「健康と福祉の推進」には、直接的に貢献しますし、人種、ジェンダー、経済格差を超えて一体感を醸成するスポーツは、SDG5「ジェンダー平等の実現」、SDG10「不平等をなくす」に貢献します。また、スポーツを通じて環境問題等のサステナビリティへの啓発を行うこともできます。世界的なスポーツイベントで、ごみ拾いをする日本人サポーターの姿は、環境問題の啓発に貢献していると思います。


サステナビリティへの啓発に関しては、特に、多くの人々の注目と尊敬を集める存在であるプロスポーツ選手が社会課題に取り組むことは、サステナビリティ課題への関心を集め、課題解決につながります。こうした観点から、米プロバスケットリーグNBAは、「NBA選手はその知名度によって、社会に対し効果的な変革をもたらすことができる」との考えのもと、NBA、選手、チームが1億ドルの寄付、100万時間のボランティアなどで社会課題の解決に貢献する「NBAケアーズ」という取り組みを進めています。


日本国内の課題に関しては、スポーツは、高齢化社会における健康や生きがい、地方創生への貢献ポテンシャルが大きいと思います、


私の故郷の富山県氷見市は、ハンドボールが盛んなので、多くの人が子供のころからハンドボールに親しんでします。また、春の全国中学生ハンドボール選手権大会(通称春中ハンド)が毎年氷見市で開催されており、ハンドボールの聖地のようになっています。ハンドボール漫画「送球ボーイズ」の舞台にもなっています。


こうした地域で、大人から子供まで一緒になってハンドボールに夢中になることは、地域を盛り上げ、一体感を生み出します。高齢者の生きがいとなることもあるでしょう。こうした観点から、地元でハンドボールのプロチームを作ろうという動きがあるのは、素晴らしいことです。


また、高齢者も含めてスポーツに参加することは、地域の人々の健康を増進します。高齢者がハンドボールのような激しいスポーツをするのは、難しいかも知れませんが、氷見市では、氷見の代名詞となっている氷見寒ブリにもかけて、利き腕にブリのぬいぐるみを持って利き腕を使わずにプレーし、得点をするとぶりが出世していく「ハンぎょボール」なるゆるスポーツを開発しています。これであれば、年齢、ジェンダー、障がいの有無などにかかわらず、ユニバーサルに楽しむことができ、健康増進にも役立ちそうです。


ハンドボールを通じた関係人口創造も期待できそうです。2018年度には、ふるさと納税での春中ハンド開催支援のための寄付が全国から3,000万円近く集まるなど、国内のハンドボールサポート人口は、それなりに存在します。ハンドボールを通じて、多くの人たちとのつながりができれば、地方創生にもつながるでしょう。


氷見のハンドボールの例を書きましたが、スポーツは、多くの人を夢中にさせる力があります。その力は、社会課題の解決、サステナビリティへの貢献にも生かすことができます。東京オリンピックが人々の断絶を生み出すのではなく、スポーツを通じたサステナビリティへの貢献などを考える機会になればと思います。

 
 
 

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