top of page
検索
  • takehikomizukami

シャトー・メルシャン椀子(まりこ)の快挙

キリングループのメルシャンのワイナリー、長野県上田市のシャトー・メルシャン椀子(まりこ)ワイナリーが、「ワールド・ベスト・ヴィンヤード2020」で、30にランクインしました。これは、相当すごいことのようです。


オーパス・ワン・ワイナリー20位、シャトー・マルゴー22位、シャトー・ムートン・ロートシルト33位など、世界最高峰のワイナリーと並んでランキングされているところを見ると、確かにすごいことです。


ワールド・ベスト・ヴィンヤードは、ワインそのものの評価ではなく、景観・環境、建築物、製品づくりの思想なども含めたワインツーリズムにおける競争力を評価しているとのことです。しかし、ワインの品質が高いことはその前提となるとのことです。


椀子ワイナリーは、日本のワイン文化の発信基地を目指して19年9月に開所その前身となるマリコ・ヴィンヤードは、2003年に開園しましたが、キリンのCSVの事例の一つとして、良く紹介されます。


マリコの土地は、1999年に、国産ワインの品質向上を目指して、自社管理栽培を行う計画が進む中、土壌や気候などのブドウ栽培適地を絞り込んだ上で、たどり着いた場所です。「マリコ」という名は、6世紀後半にこの一帯が欽明天皇の皇子「椀子(まりこ)皇子」の領地であったという伝説に由来しています。


この場所は、気候や土壌はワインづくりに適していたものの、遊休荒廃農地となっており、農地としての環境整備が必要でした。そこで、地域のボランティアの方々の協力も得ながら、農地の環境を整え栽培を続けました。その結果、7年後の2010年に、ファーストヴィンテージとなるワインを限定発売することができました。その頃から、国産ワインコンクールで3年連続金賞を受賞するなど、高い評価を受けていました。


このように、椀子ワイナリーは、もともと遊休荒廃農地であった土地を有効活用することで、地域の活性化に貢献しつつ、シャトー・メルシャンのブランド向上と販売増加に貢献しているCSVです。また、椀子ワイナリー周辺のブドウ畑は、地元と協力し、生態系に配慮した開発・運営を進めています。こうした点も、ワールド・ベスト・ヴィンヤードで高評価を受けた理由なのかも知れません。


ワインに適した気候や土壌の土地を探し、遊休荒廃のうちであった場所を、地元とも協力しながら、農地の環境を整え、生態系にも配慮しながら、品質の高いものを作り上げた椀子ワイナリーの取り組みは、ストーリーとして優れており、私もワインをプレゼントするならば、椀子を選びます。


今後、ワインづくりは気候変動の影響も受けるでしょうが、サステナブルなワインの代名詞として、さらなる品質向上、ユニークなストーリーの創造を通じて、いずれは世界1位を目指して欲しいと思います。

閲覧数:52回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サステナビリティやステークホルダー資本主義の議論になると、必ず新自由主義の象徴とも言えるミルトン・フリードマンが引用されます。 拙著「サステナビリティ -SDGs以後の最重要戦略」でも、フリードマンの「企業経営者の 使命は株主利益の最大化であり、それ以外の社会的責任を引き受ける傾向が強まることほど、自由社会にとって危険なことはない」という言葉を引用しています。そして、効率的な市場を通じて世界を豊か

最近は、ジャニーズのニュースを見ない日はありませんが、この問題は、企業が人権への対応を考える良い機会となっています。 9/7のジャニーズ事務所の会見を受けて、アサヒグループHDは、いち早くジャニーズ事務所のタレントを広告に起用しない方針を発表しました。勝木社長は、ジャニー氏の行状は容認しがたく、「2019年に策定したグループの人権方針に照らせば、取引を継続すれば我々が人権侵害に寛容であるということ

最近は、ESGの文脈で非財務と財務の関係性を分析することが流行っているようだ。ESGの取り組みと企業価値との相関関係を重回帰分析するツール、非財務要素がどう財務価値につながるかの因果関係をロジックツリーのように示す方法などが提示されている。 しかし、こうした方法やツールは、自社のこれまでの取り組みを肯定する、ESGで先進的な取り組みをしているように見せる、といったことに使うだけでは意味がない。実際

bottom of page