top of page
検索
  • takehikomizukami

サステナビリティ経営の基本としてのアウトサイドイン

サステナビリティの世界では、「アウトサイドイン」という言葉が、2つの意味で使われています。SDGコンパスでは、企業がSDDsの取り組みに関する目標を設定するにあたり、グローバルの要請、社会ニーズに則した目標を設定する意味で「アウトサイド・イン」が使われています。パリ協定に整合した2050年までにネットゼロを目指すといったCO2削減目標を設定するイメージです。


一方、CSVのフレームワークでは、企業活動と社会・環境課題の相互影響関係において、企業活動が社会・環境に及ぼす影響を「インサイドアウト」、社会・環境が企業活動に及ぼす影響を「アウトサイドイン」としています。


SDGコンパスで言うアウトサイドインももちろん重要なのですが、外部環境の影響としてのアウトサイトインは、サステナビリティ経営に欠かせない考え方です。社会・環境課題やそれを巡る政府、投資家、NGOその他のステークホルダーの動きが、どう自社事業に影響を及ぼすかを把握し、戦略に組み込むことは、ESGの時代には、企業経営の基本となっています。


企業が外部環境に及ぼす作用としてのインサイドアウトが大きければ、反作用としてのアウトサイトインも大きいので、これらは一体的に考えるものでしょう。マテリアリティ分析などでは、インサイドアウト/アウトサイドインを様々な社会・環境課題に関して体系的に評価することで、各課題の経営上の意味合いを理解したうえで、重要課題を特定します。


マテリアリティ特定にあたっては、インサイドアウト/アウトサイドインを定量化して他社と比較するといったことも重要ですし、外部ステークホルダーや専門家との対話を通じて気づきを得ることも重要です。また、自社の強みやビジネスモデルに照らして評価することも重要です。


2050年ネットゼロに向けた動きなど、政策やステークホルダーの動向が激しくなっている今は、改めてアウトサイトインの視点での様々な課題や動向の経営への影響を精査すべきときでしょう。

閲覧数:48回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サステナビリティ推進にあたっての基本の1つは、バリューチェーン全体で考えることです。企業が新たな取り組みを進める場合は、グローバルの3大サステナビリティ課題である気候変動、生物多様性/自然資本、人権を中心に、バリューチェーン全体の環境・社会的影響を考慮する必要があります。 企業の取組みもそうですが、政策においても、バリューチェーン全体の影響を考慮する必要があります。特に、脱炭素の取組みにおいては、

徳島の高校でコオロギパウダーを使った給食を試食で出したことをきっかけに、昆虫食が大きな話題となっています。Twitterなどでは反対意見が圧倒的に多く、理由としては、生乳廃棄や人口減少などの国内事情を踏まえてたんぱく質不足対策としての昆虫食は必要ない、アレルギーなどのリスクがあるといったことがあげられています。 昆虫食開発の背景にあるのは、世界の人口増加および途上国の経済発展に伴い食肉需要が増加す

サステナビリティと経営、非財務と財務を統合して情報開示するツールとして、統合報告がある。統合報告は、サステナビリティ経営に取り組む原則3「自社事業、バリューチェーンに影響を及ぼす課題に対して、戦略的に対応する」を中心に、社内外のステークホルダーにサステナビリティに取り組む経営的意味合いを伝えるために活用すべきものだ。 統合報告の作成プロセスも、経営層をはじめ、社内の様々なステークホルダーとコミュニ

bottom of page