サステナビリティリーダーズサーベイの2021年版が発表されました。世界72か国695人のメディア、企業、NGO、アカデミア、政府などのサステナビリティ専門家に対するサーベイで、重要なサステナビリティ課題、サステナビリティに貢献してるセクター、サステナビリティをビジネス戦略に統合しているリーダー企業などに関するサーベイとなっています。
サステナビリティに貢献しているセクターについては、NGOが61%(5段階評価で4点以上の評価の割合)で最も高い評価を得ており、研究・学術機関47%、市民運動47%、国連41%、マルチセクター・パートナーシップ38%、国際開発金融機関23%、企業21%、地方政府19%、機関投資家18%、中央政府7%となっています。世界的には、NGOの信頼度が高いことが良く分かります。
なお、NGOの中でサステナビリティを推進しているリーダーについてもサーベイを実施しており(3つまで特定のNGOを挙げてもらう)、WWFが41%、グリーンピースが17%、世界資源研究所(WRI)11%、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)9%、オックスファム8%、国連グローバル・コンパクト(UNGC)5%などとなっています。WWFの評価が圧倒的に高く、日本では攻撃的とみられているグリーンピースもそれに次ぐ評価を得ています。NGOとのエンゲージメントの際などに、参考になるデータだと思います。
サステナビリティを戦略に統合している企業についてもサーベイを実施しており(3つまで特定に企業を挙げてもらう)、ユニリーバ31%、パタゴニア25%、ナチュラ16%、イケア13%、インターフェイス6%、ダノン5%、マイクロソフト4%、ネスレ4%、テスラ4%、オーステッド3%、グーグル2%、ケリング2%、シュナイダーエレクトリック2%、スザノ2%、ウォルマート2%となっています。
ユニリーバの1位は、11年連続ですが、2020年にサステナブル・リビング・プランが終了し、ユニリーバのサステナビリティをけん引してきたポール・ポールマン氏の退任もあり、評価は昨年の42%から大きく下がっています。
2位以降は、過去からの常連企業が続きますが(昨年のランキング)、脱炭素の流れを受けて、カーボン・ネガティブを進めるマイクロソフト、EVのテスラ、洋上風力のオーステッドなどが、新たな常連となりつつあります。エネルギーマネジメント装置等のシュナイダーエレクトリックがランクインしているのも、脱炭素の流れに沿ったものでしょう。
南米でナチュラに次いで高い評価を得るブラジルの紙パルプ大手スザノが新たにランクインしています。国際資本市場協会(ICMA)が発行した同ボンド原則(SLBPs)への適合第一号となるサステナビリティ・リンクド・ボンド(SLB)発行などが評価されたのでしょうか。このように新しいプレーヤーも登場しています。
アジア太平洋だけでみると、シンガポールのシティ・ディベロップメンツとインドのタタ・グループが7%の同率首位で、花王3%、トヨタ3%もリストアップされています。シティ・ディベロップメントも新たに登場している企業ですが、シンガポールの廃棄物削減と持続可能な消費に対する啓発活動、社会的弱者となっている女性やその子供を支援することを目的としたEcoBankを設立していることが評価されたのでしょうか。
今年のランキングも、サステナビリティの世界が大きく動きつつあることを示すものとなりました。今後、大胆なビジョンや戦略を掲げることで、日本企業にもランキング入りの可能性は大いにあるでしょう。
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