top of page
検索
  • takehikomizukami

サステナビリティを組織に浸透させるには?

SDGs/ESGなど、企業のサステナビリティ推進を促すトレンドはあり、以前より企業のマネジメントの関心は高まっています。しかし、大部分の企業においては、サステナビリティは、情報開示や外部からの要請に対する受け身の対応として、まだまだ「担当部署が取り組むべきもの」にとどまっています。そして、担当部署にとっては、「サステナビリティの組織への浸透」が大きな課題になっています。


「何故、サステナビリティに取り組むことが必要か」については、リスクマネジメント、イノベーションの促進、人材の獲得など、様々な理由が語られており、適切にサステナビリティに取り組むことにより、そうしたメリットは、実際に得られるでしょう。しかし、短期的利益の追求を求められてきた多くのビジネスパーソンにとっては、なかなか腹落ちするのが難しいのが現実です。


サステナビリティを如何に組織に浸透させるか?そのイシューに対して、P&Gのチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)のヴァージニー・ヘリアス氏が、5つのポイントを挙げています。


① ビジネス価値をファクトで示す

サステナブルなブランドがビジネス価値を生み出すことをファクトで示す。P&Gでは、ヘリアス氏がCSOに就任した頃は、アリエールくらいしかサステナビリティでビジネス価値を生み出していると言えるブランドがなかったため、ナイキやテスラなど、他社の事例を活用していました。今では、P&Gの事例も増え、ファクトを示しやすくなっています。他社事例も活用しながら、サステナビリティがビジネス価値を生み出すことを伝えることで、社内の理解を深めることができます。


② ハートに訴えかける

社員、顧客、ビジネスリーダーなどに合理的な説明をすることは必要ですが、ハートやマインドに訴えかけることで、変革を促進することが出来ます。多数の人々のハートに訴えるにはストーリーテリングが、少人数のハートに訴えかけるには、彼らが生み出すことが出来るインパクトの現場を実際に見せることも有効です。


③ 消費者としての従業員のマインドセットを変化させる

サステナビリティの本質的な推進には、消費者の変化を促すことが必要ですが、従業員の変化を促すことも重要です。P&Gブランドは毎日何百万人もの消費者と接していますが、同時に直接話ができる95000人の社員も抱えています。彼らを変化させることが出来れば、サステナビリティが製品やブランドに組み込まれます。まず自分自身を変え、社員を変えることが出来なければ、消費者を変えることはできません。そういう視点を持って、消費者としての顔も持つ社員に働きかけます。


④ サステナビリティチームはスリムにしておく

多くのサステナビリティの担当者がサステナビリティチームが小さいと不満を言います。しかし、P&Gでは意識的にチームを小さくしています。組織が大きくなると縦割りになってしまいます。P&Gの他の事業部門からサステナビリティチームに加わりたいという直接の要請が良くあります。。そうした人々は、サステナビリティの熱意に溢れていますが、ヘリアス氏はそうした人たちに、サステナビリティチームに加わるのではなく、今の場所で変化を起こしてほしいと伝えています。サステナビリティチームは小さいままで、事業部門にサステナビリティ推進者がいることが、サステナビリティを組織に根付かせるために重要です。


⑤ 小さな一歩を積み重ねる

サステナビリティの推進には、こうすればうまくいくというシンプルな答えがあれば良いですが、残念ながらそう簡単ではありません。小さな一歩から始めるしかありません。企業の変化はすぐには起こらず、毎日の小さい一歩の積み重ねしかありません。まずは始めること。そして、1つの成功事例を創り出すこと。それに向けて小さな一歩を重ね、ハードワークするしかないのです。


これらは、実務の経験に基づく、示唆のある言葉です。サステナビリティ推進者は、これらを意識しておくべきでしょう。

閲覧数:42回0件のコメント

最新記事

すべて表示

地域こそ気候変動への適応に目を向けるべき

EUの気象情報機関によれば、2023年の世界の平均気温は、1850年の気象観測開始以来もっとも暑く、産業革命前の1850年~1900年平均に比べ1.48℃高かったそうだ。産業革命以降の温度上昇を1.5℃以内に抑えようというパリ協定の目標を超える寸前だ。 パリ協定の目標達成に向けて、世界は2050年までのカーボンニュートラルを実現しようと様々な取り組みを進めている。しかし、痛みを伴うカーボンニュート

「デコ活」を意味のある取り組みにするには何が必要か

「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)というものが始まっている。2030年にGHG排出46%(家庭部門66%)削減、2050年カーボンニュートラルという目標実現に向けて、啓発活動により消費者や企業の意識変革を促すとともに、デコ活応援団(官民連携協議会)というものを通じて民間資金を導入して、脱炭素に向けた製品・サービスを社会実装していこうとするものだ。デコ活推進事業に令和6年

非ディスラプティブな市場創造による社会課題の解決

「ブルーオーシャン戦略」のW.チャン・キム、レネ・モボルニュ氏がHBRの論文で「非ディスラプティブな市場創造」の考え方を紹介しています。 既存市場を破壊し新たな市場を拓くディスラプション(破壊)は、クレイトン・クリステンセン氏の「イノベーションのジレンマ」以降広く使われるようになり、イノベーションと同義と見なされています。 これに対して非ディスラプティブな市場創造は、技術的イノベーションなどの従来

bottom of page