日本でもサステナビリティを本格的に推進しようという企業が増えています。しかし、海外企業に比べるとその推進力に物足りなさを感じます。その一つの原因は、人材不足でしょう。
日本企業がサステナビリティを本格化しようとする場合、基本的にはトップの考えに基づきます。トップがサステナビリティ推進の号令をかけるのですが、その受け皿は、既存のサステナビリティ部門か、経営企画などになります。
トップが既存のサステナビリティ部門に取組み強化を命じる場合、既存のサステナビリティ担当者が主導することになります。既存のサステナビリティ担当者の中には、長くサステナビリティを担当しており、知識が豊富でサステナビリティ領域のネットワーク(基本的に国内のネットワークに限られますが)を持つ人もいます。しかし、これまで事業部門を巻き込めていなかったサステナビリティ担当者が、トップの号令があるとしても、事業部門を本質的に巻き込んでいくのは容易ではありません。そのため、形式的な活動強化によりESG評価などは少し上がるかも知れませんが、本格的なサステナビリティ推進には至らないというのが、よくあるパターンです。
経営企画などに取組み強化が下りてくる場合、担当者がにわか勉強して取組みを進めるわけですが、サステナビリティの本質的な部分を理解せず、こちらも形式的な取り組みに留まるのが、よくあるパターンです。
やはり、長くサステナビリティをやってきたとしてもその世界にどどまってきた既存のサステナビリティ担当や、サステナビリティに対する熱意や専門性がない経営企画担当が主導しても、サステナビリティを本格的に推進するのは難しいと思います。
では、どうするか。海外では、外部からサステナビリティ領域のリーダー人材を採用し、チーフ・サステナビリティ・オフィサーなど、役員クラスに据えるということが良く見られます。
アップルは、サプライヤーを巻き込んだ再生可能エネルギー100%を推進するなど、すっかりサステナビリティの先進企業になっていますが、それをけん引しているのは、元米国環境保護庁長官のリサ・ジャクソン環境·政策·社会イニシアティブ担当副社長です。2009 年から2013 年までオバマ政権で環境保護庁長官として、温室効果ガス削減政策等を進めたジャクソン氏は、その知識やネットワークを活用して、アップルを本格的なサステナビリティ企業に変革させています。
「日本にはそんな人材はいない」という声も聞こえてきそうですが、人材は、その気になれば海外からも採用できます。
サステナビリティを本格的に推進しようとするのであれば、政府やNGO経験者なども含め、サステナビリティ・リーダーを採用し、権限のあるポジションに据えることは、欠かせないでしょう。
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