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サステナビリティとESGを分けて考えることが必要な理由

更新日:9月21日


「サステナビリティ」と「ESG」は本質的に異なる概念で、区別して考えたほうが良い。


「サステナビリティ」の背景には、気候変動、生態系破壊、格差など、このままでは世界は持続可能ではないのではないかという懸念がある。サステナビリティ経営では、世界のサステナビリティを実現するために、環境制約の範囲内で真に豊かな社会をどう築いていくか、そのために企業はどう貢献すべきかが問われている。


サステナビリティにおいては、ESGではなく、環境・社会と経済をバランスさせるトリプルボトムライン(環境・社会・経済)が重視されている。サステナビリティを世界共通の目標に落とし込んだSDGsの概念図であるウェディングケーキモデルは、環境・社会・経済で構成されており、SDGsが目指す世界を示すキーワードである5P(People, Prosperity, Planet, Peace, Partnership(パートナーシップ))は、これに平和とパートナーシップを加えている。企業経営においては、経済的利益を追求しつつも社会・環境課題にどう対応していくかが問われる。


サステナビリティは、「世界のサステナビリティ」を目指すものだが、企業経営の文脈では、「企業のサステナビリティ」という言い方をすることもある。しかしながら、「企業のサステナビリティ」などと言うと本来のサステナビリティ経営とは異なるものになってしまうので、個人的にはこういう使い方はしないほうが良いと考えている。


「ESG」は、現在は「企業のサステナビリティ」に近い意味で使われている。E(環境)S(社会)G(ガバナンス)への取り組みを通じて「企業価値をどう持続的に高めていくか」が問われている。企業価値の持続的向上のためにはガバナンスが重要なので、環境・社会・経済ではなく、環境・社会・ガバナンスとなっている。


個々の企業経営においてESGは当然重要だが、世界全体で考えると「サステナビリティ」こそが喫緊の課題だ。自社の企業価値だけでなく、世界にどう貢献できるか、貢献すべきかを考える企業が増えることが期待されている。そのためにも、「サステナビリティ」と「ESG」は分けて考える必要がある。

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