top of page

サステナビリティで新規事業を考える視点。バリューチェーン、エコシステムを考える

takehikomizukami
2022年9月11日
読了時間: 4分

サステナビリティに向けた動きは、大量生産・消費・廃棄をベースに経済を拡大してきた産業革命以降最大のチャレンジであり、大きな変化を生み出すと考えられます。大きな変化は、同時に多くの機会を生み出します。


長期的にエネルギー源をはじめ産業構造が変化していく中で、それに能動的に対応しなければ、事業上の大きなリスクとなります。一方で、能動的に機会を捉えることで、大きく成長できる可能性もあります。


サステナビリティの大きな潮流を捉えた企業の代表格が、オーステッドです。石油・ガス会社から、洋上風力発電の世界最大手にトランスフォーメーションしています。


オーステッドのように、長期的なビジョンを掲げて、業態自体を変革するケースもありますが、多くの企業は、まずは、サステナビリティ領域での新規事業の機会を捉えるのが現実的でしょう。


サステナビリティ領域の新規事業の検討にあたっては、まず、気候変動、サーキュラーエコノミー、生物多様性、人権などの社会課題解決に向けた大きな潮流が、どのような事業機会を生み出すのか、理解する必要があります。


例えば、脱炭素に向けては、経済産業省がグリーン成長戦略を策定し、成長が期待される14分野を設定しています。具体的には、エネルギー関連産業として、①洋上風力、②燃料アンモニア、③水素、④原子力を、輸送・製造関連産業として、⑤自動車・蓄電池、⑥半導体・情報通信、⑦船舶、⑧物流・人流・土木インフラ、⑨食料・農林水産業、⑩航空機、⑪カーボンリサイクルを、家庭・オフィス関連産業として、⑫住宅・建築物/次世代型太陽光、⑬資源循環、⑭ライフスタイルを選定しています。これらの産業がどのような事業機会を生み出すと考えられているかは、少し調べれば分かります。


次に、サステナビリティが生み出す市場と自社の強みを掛け合わせます。新規事業検討の基本は、市場ニーズ×自社の強みです。自社の強みをもって差別化できるものでなければ、新規事業として成功する可能性は小さいでしょう。ここで掛け合わせる強みについては、製造業であれば、技術的な強みがまず考えられますが、それ以外にも、顧客やキープレーヤーとの関係性、オペレーション上のノウハウなど、いろいろ考えられます。


そして重要なのが、サステナビリティ市場と自社の強みを掛け合わせるにあたっての、思考の広がりです。サステナビリティ市場を、関連するレポートなどで言われている以上に捉えられないと、ありきたりの事業アイデアしか出てきません。思考の広がりを持つためには、バリューチェーン、エコシステムなどの視点で考えてみるのが有効です。


サステナビリティは、バリューチェーン、エコシステム全体で行う必要があり、バリューチェーン、エコシステム全体をサステナブルなものにしようとすれば、様々な市場が生み出されます。


バリューチェーンについては、風力発電などのレベルでのサステナビリティ市場について、資源採掘、素材・部材生産、輸送、製品生産、使用、廃棄などをサステナブルにしようとすると何か必要かを考えることで、様々な市場が生み出されることが分かり、自社の強みを組み合わせられるアイデアが広がります。風力発電で言えば、洋上での建設、長寿命化、リサイクルなどの観点、使用における生態系との共生の観点など、様々な可能性があります。


エコシステムは、広義のバリューチェーンと言っても良いかもしれませんが、一つの市場を支える様々な製品・サービスです。例えば、自動車のエコシステムについては、ガソリンの給油、保険やローンなどの金融サービス、車検やメンテナンスなどの安全に関わるサービス、タイヤをはじめとする部品や素材、生産における評価サービス、さらには道路やロードサービスなど、様々な市場があります。EV化によりサステナブルな新たなエコシステムが構築されるにあたり、現在のエコシステム市場がどう変わるのか、または新しいエコシステム市場が創造されるのか、そうした視点で考えることで、新規事業のアイデアが広がります。


サステナビリティに向けた変化は、すべての企業に機会を提供します。こうした機会を早く捉え、市場を創造する思考を持つことが重要です。


 
 
 

最新記事

すべて表示
CGコード改訂が示すサステナビリティ経営の新機軸

2026年に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(CGコード)は、形式的な順守から実効性のあるガバナンスへの転換を強く打ち出しました。サステナビリティに関する規定が「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「取締役会等の責務」へ移されたことは、その象徴です。サステナビリティは、もはや社会への配慮にとどまらず、取締役会が中長期的な企業価値の向上に向けて担うべき経営課題として位置付けられたの

 
 
 
「サステナビリティ2.0」の必要性-サステナビリティは、会計モデルなどの現在の5つの主要モデルを超えて、新しいビジョンを構想する必要がある。

TRELLISの記事より。 サステナビリティは転換点を迎えている。現在主流となっている5つのモデル―会計的アプローチ、ロールバック、権力政治、反企業的アプローチ、キャリア志向型―には、それぞれ重大な限界がある。「サステナビリティ2.0」では、基本原則を再確認し、インセンティブを創出し、サステナビリティを事業戦略や業務に統合すべきである。 サステナビリティの5つの主要モデル 「会計モデル」 このモデ

 
 
 
幸福感を高めるお金の使い方とCSVの機会

幸福感を得るためのお金の使い方について纏めた「Happy Money: The Science of Smarter Spending」という書籍があります。 この本では、幸福感を上げるためのお金の使い方として、①「物ではなく体験を購入しよう(Buy Experiences)」、②「特別なご褒美にしよう(Make it a Treat)」、③「心に余裕を持てるよう時間を買おう(Buy Time)」

 
 
 

コメント


Copyright(c) 2019 Takehiko Mizukami All Rights Reserved.

bottom of page