top of page
検索
  • takehikomizukami

サステナビリティからリジェネレーションへ

「リジェネレーション/リジェネラティブ」という言葉が、サステナビリティ界隈で広まっています。基本的には、「再生」と訳されています。まず、土壌を再生させ、より多くの炭素を隔離するリジェネラティブ農業が広まっています。パタゴニアのビール作りなどが(サステナビリティ界隈では)有名です。


パタゴニアは、農薬、除草剤なしで、不耕起で栽培が可能で、土壌侵食を防ぎ、土壌への炭素固定能力も高い多年草のカーンザを原材料とするビールを販売しています。パタゴニアは、また、リジェネラティブ農業で作られたコットンのTシャツを販売しています。このコットンは、パタゴニアも制定を支援したリジェネラティブ・オーガニック認証を受けています。


まず農業から広まっている「リジェネレーション/リジェネラティブ」ですが、最近は、経済、企業、ブランド、デザイン、建築、ファッション、エネルギー、都市開発など、様々なものに「リジェネレーション/リジェネラティブ」が冠されるようになっています。サーキュラーエコノミーでは、使用済みの製品や部品を再生して利用しますが、こうした取組みもリジェネレーションと呼ばれることもあります。


「リジェネレーション/リジェネラティブ」が広まるにつれ、これからは、「サステナビリティ」ではなく「リジェネレーション」だ、という論調もあります。確かに、カーボン・ゼロからカーボン・ポジティブを目指すには、現状を持続させていくようなニュアンスのある「サステナビリティ(持続可能性)」より、地球を再生させる「リジェネレーション」のほうが、目指す姿を伝えやすいかも知れません。


広く使われるようになってきているサステナビリティの定義としては、1897年のブルントラント委員会(環境と開発に関する世界委員会)報告書の「将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすこと」が有名です。「将来世代のニーズを損なわない」ということは、必ずしも現状を持続可能とするという意味ではないですね。「将来世代のニーズを損なわないためには、リジェネレーションが必要だ。」ということで、サステナビリティには、リジェネレーションが必要という整理も可能です。


環境やCSRからサステナビリティに。持続可能な社会を目指す概念を指す言葉が変化しています。それ以外にも、SDGsやESG、CSVなどがあり、多くの人は、違いを意識せず使っているでしょう。ここにリジェネレーションが加わっても、多くの人は、詳細を意識せず使うことになるでしょう。


そういう言葉遊びは不要なので、概念を示す言葉として、「サステナビリティからリジェネレーションへ」といった論調も不要だと思います。ただ、リジェネレーションは、取組みとしては重要です。再生農業をはじめとして、生態系の再生、カーボンの吸収による大気の再生など、リジェネレーションは、取組みを指す言葉としては、これから広めていく必要があります。

閲覧数:38回0件のコメント

最新記事

すべて表示

社会・環境課題解決イノベーションは、新たな購買決定要因、KBFを創り出す必要がある。

EV市場は端境期に入ったとされる。2023年のEV世界販売台数は前年比25.8%増の約909万台で、伸び率は前年の66.4%から急減速した。一方で、HVの伸び率は31.4%(22年15.2%)に加速し、EVと逆転した。EVの需要が一巡し、成長が曲がり角を迎えた半面、価格が手ごろで充電の心配がなく、使い勝手の良いHVに人気がシフトしてきた可能性がある。しかし脱炭素に向けた動きが続く限り、中長期的には

「形だけのサステナビリティ」は何が問題なのか?

2016年頃はSDGsバッジを付けているビジネスパーソンはほとんどおらず、ニューヨークの国連本部で買ってきたSDGsバッジは話のネタになった。しかし今は、多くのビジネスパーソンがSDGsバッジを付けており、SDGsバッジを付けていると気恥ずかしいくらいだ。SDGsバッジが普及している様子からは、日本はSDGs先進国のように見える。 本年1月に発表されたTNFDアーリーアダプターの登録企業数は、日本

自社の強みを生かしたCSVビジネス創出に向け、社会課題の解決策が生み出す次の課題を考える。EVの事例から。

CSVは、未解決の社会課題にビジネスを通じて解決策を提示するものです。社会課題に関する課題と解決策の新しい組み合わせを提示するものでもあります。 企業が社会課題と解決策の組み合わせを考えるにあたっては、社会課題に自社の強みを当て嵌めて製品・サービスを生み出すことがまずは基本となります。自社の強みをもって差別化できるものでなければ、製品・サービスのCSVが、新規事業として成功する可能性は小さいでしょ

Comments


bottom of page