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コーポレートガバナンス・コードの改訂を機に、サステナビリティ方針を見直すべきではないか。

  • takehikomizukami
  • 3月6日
  • 読了時間: 3分

更新日:3月19日

先般金融庁が提示したコーポレートガバナンス・コード(CGC)改訂案では、サステナビリティに関する記述を「第2章 株主以外のステークホルダーとの適切な協働」から「第4章 取締役会等の責務」に移管し、原則で「取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべき」と規定している。これまでの「上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について、適切な対応を行うべき」という規定に比べて踏み込んだ内容となっている。


サステナビリティが重要な経営課題であり、中長期的な企業価値を判断する上でサステナビリティ情報が重要であるとの認識が広まり、ISSB基準が各国で適用されていることなどを踏まえ、サステナビリティのコーポレートガバナナンス上の位置付けを格上げしたものと言える。


CGC改訂案では、原則で「自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定するほか、適切な対応を行うべき」とも規定している。


CGC改訂案はサステナビリティの基本的な方針の策定を求めているが、これまで「日本企業が掲げているサステナビリティ方針は形式的で余り機能していないのではないか?」と感じていたこともあり、東洋経済の「CSR企業ランキング」トップ50(2026年版)企業を対象に改めて日本企業のサステナビリティ方針を確認してみた。


CSR企業ランキング上位企業はサステナビリティ経営に積極的と考えられるが、驚くことに10社以上がサステナビリティ方針を掲げていなかった。それ以外にも、「我が社のサステナビリティ経営は経営理念の実践である」と掲げる企業、経団連の企業行動憲章をベースとした一般的な社会的責任の内容を掲げる企業など、CGCが求める方針としては機能していないと考えられるサステナビリティ方針が大部分だった。多くの企業は、CGC改訂を機にサステナビリティ方針を見直すべきではないだろうか。


では、サステナビリティ方針を見直すとした場合、何を規定すべきか?CGC改訂案では「方針はこうあるべき」と具体的な内容を規定しているわけではないが、原則で「中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティを巡る課題に積極的・能動的に取り組むべき」と規定し、解釈指針で「気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、自然災害等への危機管理、多様性などのサステナビリティに関する課題への対応はリスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題について適切な対応を行うべき」と規定している。


この内容を踏まえると、CGC改訂案では「中長期的な企業価値の向上に向けてサステナビリティ課題にどう取り組むか」についての方針を掲げることが期待されていると考えられる。


今回調べた企業の中では、クボタが「マテリアリティの取り組みにより、経済価値と社会価値を合わせた企業価値を創出する」と規定している。旭化成は「『世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献』するため『持続可能な社会への貢献』と『持続的な企業価値向上』の2つのサステナビリティの好循環を追求する」と規定している。


サステナビリティ方針の具体的記載内容は各社ならではのもので良いと考えるが、マテリアリティの特定とPDCAマネジメントおよび情報開示を含むステークホルダーエンゲージメントを基本とするサステナビリティ経営により、「企業価値を向上させる」または「社会価値と企業価値を両立させる」ための基本的考え方は示すべきだろう。

 
 
 

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