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グリーンウォッシュへの制裁の財務影響は?-罰金トップ10

本年1月、欧州議会がグリーンウォッシュと誤解を招く製品情報を禁止する指令案を採択しました。理事会の最終承認を得た後、加盟国は24ヶ月以内に国内法に移行する必要があります。具体的には「環境に優しい」「自然・天然」「生分解性」「気候変動に影響されない」「エコ」といった表示を証拠なしに使用することが禁止されます。カーボンオフセットにより製品が環境に与える影響を中立、低減するとの主張も禁止されます。


欧州の指令に代表されるように、脱炭素に向けた取組が進む中、グリーンウォッシュに対して厳しい目が向けられるようになっています。


では、グリーンウォッシュのリスクは企業の財務にどのくらい影響するのでしょうか?毎年ダボス会議で「世界で最も持続可能な企業100社(Global 100)」を発表していることで知られるカナダのコーポレート・ナイツ社の記事で、グリーンウォッシュの罰金トップ9が紹介されていました。


1位はフォルクスワーゲンで346.9億米ドル。5兆円を超える巨額な罰金ですが、自動車業界が一気にEVにシフトする背景ともなった、ディーゼル車の排ガス検査をクリアするためにエンジンに違法なソフトウェアを付けたディーゼル排出不正問題の罰金です。数カ国の政府から罰金を科されています。


2位にはトヨタ自動車が入っています。排ガスに関する不具合を報告せず環境規制に違反したとして1.8億米ドルの罰金を米国政府から科されています。


3位はドイツ銀行の投資部門DWSがESG投資プロセスに関し誤解を招くような表現を行ったとしてSECに科された罰金で2500万米ドル。


4位はカプセル式コーヒーマシンを提供するキューリグで、使い捨てのコーヒーポッドをリサイクル可能と誤解を与えたとしてカナダの規制当局に1220万米ドルの罰金を科されています。


5位はイタリアのエネルギー会社Eni。パーム油ディーゼルをグリーンとしたことでイタリアの規制当局に560万ドルの罰金を科されています。


6位は米国流通大手のコールズとウォルマート。米連邦取引委員会が環境に配慮した商品かのように見せかけた表示や広告が消費者の誤解を招くとして、コールズに250万米ドル、ウォルマートに対して300万米ドルの課徴金を科しています。具体的には、コールズは素材にレーヨンが使用されているシーツや枕、バスマット、タオルの広告に「100%または一部に竹を使用」と表記。「サステナブル」「高い再生可能性」「環境に優しい」といった謳い文句を使用していたとのことです。ウォルマートは、シーツやタオル、ブランケット、授乳ブラなどの商品について、コールズ同様、使用していない竹素材の表記やミスリーディングな広告を行っていたとのことです。


7位はゴールドマンサックスで、ESG投資ポリシーに合致しない商品で顧客の誤解を招いたとしてSECから400万米ドルの罰金を科されています。


8位はニューヨークメロン銀行 で、ESGポリシーを実践せずファンドのESG価値を誇張したとしてSECから150万米ドルの罰金を科されています。


9位はアパレルのH&Mとデカトロン。ラベルで根拠のない環境配慮の主張をした後、それぞれ43万500米ドル、53万米ドルのサステナブルな活動に関する寄付をしています。


フォルクスワーゲンは論外で、トヨタも環境規制違反ですが、グリーンウォッシュは数百万~数千万ドルの罰金リスクはありそうです。Eniのパーム油をエネルギーに使用することが批判されていることなどは、日本企業も知識不足で実施してしまいそうですので注意が必要です。

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