「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)というものが始まっている。2030年にGHG排出46%(家庭部門66%)削減、2050年カーボンニュートラルという目標実現に向けて、啓発活動により消費者や企業の意識変革を促すとともに、デコ活応援団(官民連携協議会)というものを通じて民間資金を導入して、脱炭素に向けた製品・サービスを社会実装していこうとするものだ。デコ活推進事業に令和6年度当初予算案として、37.63億円が計上されている。
日本の財政事情が厳しい中、国家予算の使途は厳しく選別されるべきだと考えるが、コンサル会社に勤めていたときもこんなプロジェクトに予算を投じる必要があるのだろうか、費用がかかるコンサルに委託する必要のあるものなのだろうかと思うことが結構あり、役所の予算の使途に対しては余り節約や費用対効果のプレッシャーがかかっていないようだ。デコ活についても、初期的な印象は、それなりの予算を投じて本当に意味のある活動になるのだろうかというものだ。少し前のプレミアムフライデーのように、そういえばそんなものもありましたねという感じにならないか、またはそこまで認知されずに終わってしまわないか、懸念は感じる。
デコ活は、「二酸化炭素(CO2)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いエコ(Eco)を含む"デコ“と活動・生活を組み合わせた新しい言葉」ということで、「デ」電気も省エネ断熱住宅、「コ」こだわる楽しさエコグッズ、「カ」感謝の心食べ残しゼロ、「ツ」つながるオフィステレワークともかけているようだ。衣食住関係を中心に、「購買の選択や日々の活動において「デコ」を心がけましょう」、「そのための選択肢を用意していきます」ということらしい。
しかし、カーボンニュートラル実現に向けて市民の意識を変えていく観点からは、欠けている視点があるように思う。
UNEPが「気候危機に対して出来る10の方法」としてあげているのは、「ムーブメントなどに参加して気候危機と戦う仲間を増やそう」「政治的圧力をかけ続けよう」「徒歩、自転車、電車の活用など移動のやり方を変えよう」「節電し再エネを使おう」「食肉消費を減らし植物由来のものを食べよう」「地元から季節のものを買おう」「食品廃棄をやめよう」「服を買うのを減らし長く使おう」「植林しよう」「地球にやさしい投資に集中しよう」だ。デコ活で示されている行動に比べると本質的な取り組みがあげられている。
気候アクションへの積極参加、環境対策を掲げる政党・政治家への積極投票、投資を通じた企業への影響力行使、食肉や衣類の消費を減らす、そうしたことに取り組めれば、デコ活も意味のある取組みになっていくのではないか。
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